ビジョンの時間

side.寺坂竜馬



……寺坂竜馬だ。

最近のE組はつまらねー。どいつもこいつもタコの事ばっか。
居心地の悪さを感じていたときに声を掛けられた。……シロに。
シロは俺に協力を申してきた。元のE組に戻してやる、と言われ俺は今あの場にいるよりはマシだと思い、シロの誘いに乗った。

そこにはイトナは勿論、殺し屋『レオン』もいた。
シロの作戦はタコに気付かれず順調に進んでいた。段々居心地の良さを感じていたんだ。
……だけど、結局は騙されて利用されていただけだった。


『君はどうしたい、何がしたい』

『確かに君は取り返しの付かない事をやってしまった。だけど、まだ君はやり直せる』


クラスメイトを巻き込んで、絶望に混乱していた俺にそう言葉を掛けたのはレオンだった。
……意外だった。
シロと手を組んでいるから、良い奴だと思っていなかった。だから、突然の言葉に呆気にとられてしまった。
あの時俺にそう言葉を掛けてくれたレオンからは、少なくとも悪さなど感じなかった。


「貴方は……シロさんの助手ですね」

「そうだね」

「そして、殺し屋『レオン』ですね」

「わぁ、知ってるんだ。誰に聞いたの?」


そんなレオンが今俺達の目の前でタコと会話している。
表情は分からねーが、口調は楽しそうだ。


「いや、言わなくてもいいよ。分かるから。……イリーナでしょ?」


前に聞いたときとは違った声。例えるなら…生意気なガキの様な声。

先日の夜にも感じたプレッシャー。
未だに顔は見た事はない。


「いやあ、あの中よく勝てたねぇ!ま、どうせ勝つだろうと思ってたけど」

「にゅ?君は助手なんでしょう?その発言は敵対しているように聞き取れます」

「うん。だって助手じゃないからね」


あっさりと放った言葉に周りからは叫び声がわき上がる。
俺もつられて叫んじまったじゃねーか!どういう事だよ!?


「ま、それはどうでもいいんだ。今日はね、報告する事があってここにきたんだ」

「報告?」

「そう。……この度、殺し屋レオンは___E組へ転入する事になりました」


先程の叫び声が嘘の様に消えたが、また周りから叫び声が上がった。
情報量が多すぎんだよ!!


「堀部糸成は来ないけど、レオンは来るから宜しくね、E組諸君」


マントから出てきた手がひらひらと揺れている。
未だに見えないそのフードの奥はどんな面をしているのか。
……それは近々分かる事になる。



ビジョンの時間 END





2021/01/04


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