ビジョンの時間
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夜
静かなE組校舎付近に人の影あり
「今度は抜かりないんだろうね?」
「勿論。次こそはヤツを殺せるよ」
そこには4つの影があった。
椚ヶ丘中学校指定の制服を来た体格のいい男子生徒……『寺坂 竜馬』
椚ヶ丘中学校指定の制服のズボンを履き、上は赤いタンクトップを着た男子生徒……堀部糸成
全身白色の格好で身を包んでいる人物……シロ
そして、シロと呼ばれている人物と真逆の様な格好…黒いマントで身を包んでいる人物……レオン
この四人がその場所に存在していた。
「君がそこまで殺せる自信があるって言うから気になるのさ。ま、前回は失敗したみたいだけど」
「君が本当の“助手”だったら、更に良い計画を練ることができるだろうね」
「残念だけど、今僕を使う権限を持っているのは政府だ。君が僕を使うことはできないよ」
それに、君とはこの依頼が終わった後に“遊ぶ約束”をしてるしね。
そう言ってレオンはフードの奥でニヤリと笑った。
「そんな物騒な約束、した覚えがないなぁ」
「覚えが無いなら今頭に刻め。とても楽しい“遊び”をする約束がある、とな」
シロとレオンのやりとりに割って入る者あり。
「おい、お前。殺し屋なんだろ?あのタコを殺すのなんて簡単じゃないのかよ」
「まさか。あんな速いヤツ、簡単に殺せないよ」
「君の速さでも追いつけないか」
「ターゲットは人間では無い謎の生物。このなりを見れば分かるように僕は人間さ。あんな超生物、拘束できたら苦労しないって」
シロと寺坂にそう返答したレオンの目の前に誰かが降りてきた。
それは先程までずっと黙っていたイトナだった。
「レオン、お前は強い。あの赤髪より遙かに」
「馬鹿な事を言わないでくれる?僕はプロだ、一般人と比べないでよ」
強い口調でイトナにそう返した後、レオンは木の枝へと飛び移った。
レオンは振り返って、自分の下にいる寺坂、シロ、イトナを見下ろす。
「最も恐れられている殺し屋…『死神』に次ぐ強さを、僕は持っているのだから」
僕は強い
当たり前だろう?
月を背後にして立つレオンの赤い瞳が不気味でありながらも綺麗に輝いていた。
その姿に息を呑む者、眼を細める者、黙って見つめる者がいた。
「シロ。君が殺れなかったら僕がターゲットを貰う。……いいよね?」
「君にヤツを殺せるならね」
「舐めないでよ」
シロにそう言葉を送った後、レオンは闇に溶けるようにその場から消えた。
2021/01/04
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