第2節「雄英体育祭:前編」



「予選通過は上位42名……。残念ながら落ちちゃった人も安心なさい?まだ見せ場は用意されてるわ。……そして、次からいよいよ本戦よ!」


上位42位。
私は余裕持ってその圏内に入っている。
さあ、ここからが本戦……!!


「さあて第二種目よ?私はもう知ってるけど……、何かしら〜?何かしら〜?」


回るルーレットをジッと見つめる。
協力してくれたサーヴァントのみんなと、個性の使用を許可してくれている両親に良い結果を送りたい……!


「言ってる側から!これよッ!!」


そう思っているとルーレットが停止した。
きば、せん……?

ミッドナイト先生から説明がされる。
参加者の中から2〜4人でチームを作り、基本は騎馬戦のルールと変わらないらしい。
で、先程行われた障害物競走の順位でポイントが振り分けられてるようだ。
と言うことは、ポイントを奪い合うって事かな……?


「つまり、組み合わせによって騎馬のポイントが違ってくると……!」

「あー!」

「なるほど!」


隣にいたお茶子ちゃんの言葉に、三奈ちゃんと同時に納得する。
直後、ムチを叩きつけたような音が……。


「あんたら私が喋ってんのにすぐ言うね!!?」


どうやらミッドナイト先生の仕業だったらしい……。
す、すみません……。


「ええそうよ。そして与えられるポイントは下から5ずつ。42位が5ポイント、41位が10ポイントといった具合よ」


と言うことは、私は……39×5で195ポイントか。


「そして1位に与えられるポイントは……10000000!!」


……え?
ミッドナイト先生の言葉に考えていた頭が停止する。
聞き間違いじゃないよね?
そう思い、ミッドナイト先生の背後にあるモニターに表示された1位の…いーちゃんのポイントを見る。


「そう……、上位の奴ほど狙われちゃう下克上のサバイバルよ!!」


そう来たか……!!
どうやら第二種目の騎馬戦は、確かに普通の騎馬戦ではない!!


ミッドナイト先生の説明は続く。

制限時間は15分。
先程お茶子ちゃんが言ってたように、振り当てられたポイント合計が騎馬のポイントとなる。
騎手の人はそのハチマキを付ける。
そのハチマキを奪いあい、ポイントを稼ぐ。
取ったハチマキは首につけ……まあ私騎手よりも動ける騎馬のほうがいいなぁ。あ、でも騎手の人の体重支えきれるかな。大丈夫だよね!3人まで騎馬組めるし!


「そして重要なのは、ハチマキを取られても、また騎馬が崩れてもアウトにはならないって所!」


なるほど。
ずっと騎馬がフィールドに居続ける事になるのはちょっと厳しいな。
ポイントを奪った後も油断できない。奪い返される事もあるから、ライバルが減らないとなると確率は変わらないか。

勿論、騎馬戦も個性使用可。
だけど悪質な騎馬崩し目的の攻撃はレッドカード……つまり失格って事ね。


「それじゃこれより15分!チーム決めの交渉、スタートよ!」


交渉時間が始まった。
……どうしても2人以上いなきゃダメかなぁ?

やろうと思えば1人でできるんだよね。だって私にはサーヴァントのみんながいるから!
え〜っと、まず前騎馬はエルキドゥでしょ?後騎馬は奪われる時に何かで妨害して欲しいからジャンヌとかカルナが良いかなぁ。
あ、でもエドモンも良いよね!とりあえず武器使わなくても戦える子だったら誰でもいいや!
擬態するならマーリンかな!だってやろうと思えば何でもできる子だからね!!騎馬には絶対しないけど。

……だけど、それはルール違反だ。
そもそもサーヴァントのみんなをこんな多い人の中に出させる訳にはいかない……。


「いーちゃんに一緒のチームなってくれないか聞いてみようかな……」


どう見ても避けられてるいーちゃんを視界に入れる。
久しぶりにオロオロとしている彼を見てクスッと笑みが零れた。
困ってそうな後ろ姿に向かって歩みを進めようとしたその時。


「?」


肩を叩かれたので後ろを振り返る。
そこには何処かで見た男子生徒がいた。


「……あ!2週間前に教室前の廊下にいた人!」


思いっきり指を指してそう言ってしまった。


「ねぇ、良かったら俺と組まない?」

「え?」


目の前の彼に誘われ、純粋な疑問…どうして話した事の無い人と組もうと思ったのか尋ねようとした瞬間だった。


「あ、れ……?」


思うように身体が動かせない。
意識がボーッとする。
……あれ。この感じ……っ、私知ってる・・・・



「……指示をどうぞ」



自分の口が意思と反して動いた感覚を最後に、視界が真っ暗に染まった。





2021/07/04


prev next

戻る














×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -