第2節「雄英体育祭:前編」



「前の人が全然見えない……。今私何位なんだろ……?」


続く道を走ること数分。
道の角が近くに見えてきたその時、マイク先生の実況が耳に入った。


「さあ、早くも最終関門!!その実体は……一面地雷原!!地雷の位置は良く見りゃ分かる使用になってんぞー!!目と足酷使しろォ!!」


地雷!?
ちょっとそれはやりすぎじゃない!!?


「ちなみに地雷は競技用で威力は大した事ねェが、音と見た目は派手だから失禁必至だぜェ!!!」


……なるほど、なら怪我の心配はなさそうかな?
考えている間にその一面地雷原のエリアへ。


「……ちょっと気になるだけだから」


ナイフを出現させ、地面に向かって投げてみる。
良い音で刺さった音が短く響いた瞬間


「……確かに、びっくりする……と思う」


目の前で派手に爆発した地雷を見て、正直な感想がでた。
……ん?あれって……


「轟君と……かっちゃん?」


目を凝らして先の方を見ると、分かりやすい赤白頭と薄い金髪のツンツン頭が見えた。
それ以外の人は見当たらない。……もしかして私3位!?


「あの妨害を突破してきたのか……。抜かれる前に進まないと!」


しかし地雷だらけの場所をどう進もうか。
……ジャックの素早さなら行けるかも?


「地雷が爆発するよりも早く突破できれば、妨害にもなるよね?」


この地雷の多さの割には距離はそう遠く無さそうに見える。
ならば、自分に強化を付与すれば2人を抜けるかも……!

思いついたら即実行だ。
右腕に令呪が浮き上がる。
魔力を消費して、ジャックの能力を強化させる。


「よし、これなら!!」


両手にナイフを構えて、地雷だらけの道を進む。
思った通りだ!ジャックのステータスが上がった事で先程より早く動ける!!


「先頭争いしている2人に……地雷のプレゼントッ!」


2人に当たらない程度の場所にナイフを投げ、地雷を爆発させる。
突然の事で驚いている2人を抜き去る。


「1番貰うね、2人ともっ!」


飛び越え際にそう言い、地面に着地したのち走り出す。
強化が続いている間にここを突破したいんだけど……っ!!


「待てこら名前!!」

「クソッ、お前もスロースターターかよっ!!」


かっちゃんと轟君が許してくれる訳ないよね……!
再びナイフを投げて地雷を爆発させようと、後ろを振り返ったその時


「え……?」


後ろで今まで聞いたことのない大きさの爆発音が響いた。

突然響いた爆発音に私はその音が鳴った方へ振り返る。
何かが飛んでるって……あれは……!!


「……いーちゃんッ!?」


なんといーちゃんが飛んできたのだ。
そして……抜いた!?


「折角先頭になったっていうのに……っ!?」


しまった、強化が解除されたっ!タイミングが悪い……!!
もう一度ステータスをあげるため、右腕に令呪を浮き上がられる。
出遅れたけど、すぐに先頭を返して貰うよ!!

かっちゃんと轟君の背中を視界に入れ、上を飛んでいくいーちゃんを見上げる。
もうちょっとで前を走る2人に追いつく、と思った刹那


「ッ!?」


真後ろで爆発が起こった。
その爆風でバランスを崩してしまう。


「っつぅ〜……」


急な事だったので倒れてしまった。
目を開けるとかっちゃんと轟君、いーちゃんの背中は大分離されていた。


「これ以上、強化に頼ってられない……っ」


今から1位を狙うのは無理だ。
ならば今この順位を守り切るのが鮮明……!!

ナイフを投げて地雷を発動させる。
どうやら踏んで発動する仕組みのようだけど、ちょっとした刺激でも爆発してくれる時があるから助かる……!!

やっとのことで地雷原のある場所を抜けられた。
後はゴールを目指すだけだ……ッ!!



***



「はっ……はぁ……ッ」



結果は4位。
まあ、上位のうちでしょ……!!


『大丈夫?おかあさん』

「う、うん大丈夫だよっ。力を貸してくれてありがとう」

『わたしたち、役に立てた?』

「すっごく立てたよ」

『わあーっい!』


ジャックと会話をしながら辺りを見渡す。
着々と他の人もゴールしていく。


「……」


1位の人物……いーちゃんを見る。
まさか、個性を使わないで妨害してくるとは……。
やはり怪我してしまう事を躊躇っているのだろうか。


「お疲れ〜名前」

「おっ、お疲れ様響香ちゃん」

「何位だった?」


近づいて来た響香ちゃんに、4本の指を立てた手を見せる。


「はっやいな〜。やっぱ元から運動神経良いの?」

「いいや、擬態してた子が速いだけだよ。だって私、個性無しだったら50m走9秒代だもん」


私の言葉に響香ちゃんが苦笑いしてたのは気のせい気のせい……。


「緑谷が1位って意外だね」

「……うん」


響香ちゃんと同じく、私も正直いーちゃんが1位になるとは思ってなかった。
……何故だか、段々いーちゃんが遠い存在になっていくような感覚がした。





2021/07/04


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