第5節「泡沫の夢」


side.轟 焦凍



チャットアプリのクラスグループに1つのメッセージが送られた


“苗字のお見舞いにみんなで行こうよ!”


送り主は芦戸だ。
そのメッセージに次々と既読の数字がカウントされていき、“いいな!いこーぜ!”やら“さんせー!”と言ったメッセージが送られてくる。


“苗字君がどこの病院に入院しているのか知っているのかい?”


そのメッセージを送ったのは飯田だ。
俺らは名前が入院していることをテレビニュースで知った。どこの病院に入院しているまでは分からない。


「……」


珍しく家に帰って来ている親父あいつなら、名前がどこに入院しているのか知っているかもしれねぇ。
あの現場にはアクアとサナーレ…名前の両親もいた。
そもそもニュースではアクア自身が実の娘を救出したと報道されている。本来は彼奴の個性であるサーヴァントって奴らが助けているんだろうけど。


『大丈夫、必ずマスターを助けるさ。この花の魔術師マーリンが約束をしよう。……これでも、かなり頭にきているんでね』


マーリンと名乗っていた男が言っていたから間違いない。
……というより、あの時の名前は本当に名前なのか分からなかった。まるで、人間ではない“何か”に俺は見えた。


『そもそも私、人間としては変な存在だったから』

『あの人がいたから私は人間として成長できた。あの人と出会っていなかったら、ずっと私は命令を淡々と実行していくコンピュータと同じだった』


俺はクラスメイトや名前にとって幼馴染である存在の緑谷と爆豪も知らないある秘密を知っている。___それは名前が前世の記憶を持っている事。

その過去は俺には考えられないような…完全に理解する事が難しいもので、彼奴が言うには俺達の世界は自分の生まれた世界よりマシだという。


非道な事は良くある事で、自分もその被害者の一人である事
欲望に溺れた人間による殺し合いの戦争が行われていたという事
人類史……これまでの歴史や今現在全てがなくなってしまう所だったという事
……まるで漫画の中の物語みたいなものを聞いている気分だった。


「……ん?」


ポンッと効果音が聞こえたと思えば、新しいメッセージがチャット欄に出ていた。送り主は緑谷だ。


“×××病院の○○○号室に入院してるそうだよ”


どっからその情報を得たのかはしらねーが、場所が分かったんなら後は行くだけだ。
グループチャットには、集合時間・場所の話し合いが行われていた。





2024/05/04


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