第4節「とある女性マスターのオリジン」



何とか突破した私達は、偶然にもあるサーヴァントと合流できた。
そのサーヴァントは『シャーロック・ホームズ』、私のサーヴァントを除く他のサーヴァントが撤退した後もダヴィンチちゃんと同じく現界していたサーヴァントだ。



「地下にある格納庫へ向かって欲しい。少し前にミスター藤丸達が向かった」

「分かった。でも、他の職員を1人で救出するの?」

「いや、実は君のサーヴァントに協力して貰っている。今は別の場所にいるだろう」



今確認できなかった私のサーヴァント達は他の職員の救出に手を貸してくれていたようだ。
もしホームズさんが1人で向かう、なんて言ったらどうしようかと思っていたよ。



「格納庫で会おう、ミスナマエ」

「ホームズさんも!」



ホームズさんと別れ、格納庫へ向かうと職員の人が出迎えてくれた。
この大きなコンテナはなんとシェルターになっているらしい。

次第に職員の人が集まり、その中には私のサーヴァント達もいた。



「名前さんっ」

「立香君!マシュ!……ダヴィンチちゃんも!」

「私はついでかい?このこの〜」



自分の名前を呼ぶ声が聞こえ、振り返るとそこには立香君とマシュ、ダヴィンチちゃんが。
そして、少し前に合流したホームズさんから聞いたダヴィンチちゃん救出にも間に合ったようだ。
どうやらこのコンテナはダヴィンチちゃんとホームズさんが内密に完成させていたもののようだ。

話が切り替わる。
私のサーヴァント達を含めても助けられなかった職員達。
東館へと逃げた人達は氷づけにされていたというのだ。
これは明らかに……サーヴァントの仕業だ。



「我々は完全に後手に回っている。現状、情報が少なすぎるからね。その為にも、ここは一旦引くべきだ。魔術協会に救援を呼んで、情報の整理を___」



ダヴィンチちゃんの言葉を聞いていると、急遽入ったアナウンス。
その声は生存者の声だった。


「おおい、何をぐずぐずしているんだ、ホームズが急げって怒鳴っているぞ!!余裕はない、もう脱出するしかないんだ!!そいつには悪いが、こればっかりは運がなかったと諦めるしかない!」



ホームズさんの意見は最もだ。
納得のいかない2人には悪いけど、私も賛成だ。
そう思っていた時だった。



「私はまだ、一度も、一度も……っ、一度も、他人に認められていないんだ!まだ誰にも、誰にも愛されていないんだよ……!」



その言葉に身体が勝手に動いていた。

分かっている……分かっているんだよ。
彼を……ゴルドルフという男性を助けに行くのは、自ら危険の場へと戻っていることに。
でも、でも……!



「オルガマリー所長のような運命を……っ、あの人にはさせたくないッ!」



ただの自己満足かもしれない。
だけど、また同じような光景を見たくないんだ……!!



「奏者がそう決めたのなら、余はどこまでも付いて行こう!」

「ネロ……!」

「仕方ないわね、付き合ってあげるわよ」

「ジャンヌ……っ」



渋々と言った様子で了承してくれたサーヴァント達。
……この選択が、間違っていたのをこのときの私は考えもしていなかった。





2021/07/24


prev next

戻る














×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -