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「ポッターは私の事務所で見たんだ、知っているのだ……」

管理人のフィルチ、と私がこの一年いたけど会ったことのない人の悲痛な叫びをぼんやり聞く。1人輪から外れて隅で蹲る私に誰も触れないのは先生方の優しさだろう。
かぼちゃのせいではない吐き気を抑えて、目をしっかり閉じる。ハリーたちの否定の声だとか色々聞こえるが、今の私にはそんな余裕もない。
むしろ、何故みんな平気なんだ。石だって、石になったんだって、猫。壁にぎっとぎとに血で文字があったんだ。こんなの映画とかのフィクションのみで許される事案だ。

「何故あの廊下にいたのかね?グリフィンドールの寮へも大広間へも、あの廊下を通っていく必要はないはずだが?」

気分が酷く悪い。フィルチさんの泣き声が頭に響く。魔法界怖すぎない?みんな冷静でいられるの流石としか言いようがない。私には、むりだ。

「ーミスーーーーミスミョウジ!」

強く呼ばれ、痛む頭をあげてそちらを見る。先生方が、私を見ていた。なんでしょう、と小さく問う。

「人の話を聞いていたまえ!何故あの廊下にいたのだ!」
「…………かいだんが」
「なんだと!」
「セブルス」

見ていられず俯き言うと、ダンブルドア先生が私の前にしゃがむ。ふわりと大きなマントを肩にかけられ、包まれた。不思議と落ち着く匂いがした。

「ナマエ、ゆっくりでいいのじゃ。何故あそこに?何か見たものは?」
「…………階段が、見たことのない場所について、その道を進んだら、あそこに」
「バカを言うな!」

あの廊下に階段などない!私が罪を犯したというような言い方で、フィルチさんは叫んだ。それをダンブルドア先生が手をあげ制止する。

「その廊下は、どういうところじゃったかのう?」
「くらかった。すごく暗くて、何も無い一本道でした」
「そうか……」

ふむ、と一つ頷き、ダンブルドア先生は私にマントをかけたまま先生方の方に戻っていく。私はマントにくるまり、顔を埋める。

「マクゴナガル先生、4人を寮に送ってやりなさい」

ダンブルドア先生の言葉に、息を吐く。もう寮でもいいから、ここから離れたかった。ナマエ、と声をかけられ、マクゴナガル先生の手がそっと私の肩に触れて立ち上がる。隣にぴたりとハーミーがつき、私の手を握った。大丈夫よ、と言われたが、それに何も返せなかった。

寮に戻ると、私はアリアとサーシャに何故か抱き締められ、ひどいかお、と泣きそうに笑われた。しかし私はただいまという言葉も言うことが出来ず、シャワーも浴びないまま布団にもぐる。すごく、疲れた。

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