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翌日の魔法薬学の授業、マルフォイくんは手に包帯をしてやってきた。無遠慮にも見つめると、彼は嫌そうな顔でふん、と鼻を鳴らす。

「ミスミョウジ」
「うす」
「雛菊の根は細かく刻むのだ、細かくだ」
「細かいですよ」
「荒い」

流れるように1点減点されてしまった。どうせ鍋に入れて溶けるんだから同じだろうに、と思ってしまう私だがこれでも料理はそこそこ出来る。めちゃくちゃ美味しいかと聞かれるとなんとも言えないけど、普通レベルくらいはあると思ってる。
荒いと言われた根っこをみじん切りの容量で更に細かくしていると、何やら奥側で問題があったらしく声が聞こえた。マルフォイくんとロンらしい。スネイプ先生はご機嫌ななめである。触らぬスネイプに祟なし、と言いたいところだが祟は予期せぬ方向から飛んでくるものだ。鍋の扱いが雑とかで何故か私も減点された。かき回しただけじゃん!

その後もブチブチと小姑に言われ続けなんとか出来た薬を提出した後、私は次の授業に向かうべく皆に混ざって教室を出る。周りの話から、次はDADAと分かった。時間割?とっくの昔に家出したね。しかしDADA。ルーピン教授担当のDADAだ。迷惑をかけた身としてはこれから物わかりの悪いモンキーの面倒を見てもらわなければいけないので更に申し訳ないが、まあそれはおいておいて、いつお礼とローブを返しに行くべきかと目の前で行ってしまった階段待ちながら考える。なるべく忙しくない時間帯がいいよね。授業は全部持っているはずだし、他の学年のDADAの時間割なんて知るはずもない。とすると、夕食後あたりがいいかもしれない。ちなみにお礼はチョコレートの詰め合わせにした。マダムからもらったギフトカタログに載っていたやつなのでおそらく魔法界のだろう。味は知らん。


やあみんな、という爽やかな挨拶から始まった授業は、まさかの初っ端実技だった。嘘だろバーニィ。早速私のダメさが発揮されるやつだ。
移動するらしく、教室に荷物を置いて廊下を歩くとポルターガイストのピー……ピーくんが来てルーピン教授のことを馬鹿にし始めたが、ワディワジとかいう呪文で撃退した。それを見た生徒からの株は爆上がりだ。やるなこの人。

「今のなんの呪文かわかるか?」
「ワディワジってのは聞こえた」
「ワディワジか。俺にも出来るかな」
「出来んじゃね?」

シェーマスが楽しそうにきらきらと目を輝かせて教授を見る。結構着古した服を着ているし不憫そうな疲れた顔をしているが、教授は多分グリフィンドール生にとって今この瞬間からヒーローになった感ある。物持ちいいタイプっすね。

移動した先の部屋にはでかい箪笥が1個置いてあるだけだった。が、それより注目か行くのはスネイプ先生の姿である。なんでいんの、という質問は、ルーピン教授の「見張りありがとう」という言葉に消えたが、いや待て見張り?と別の疑問が。見張りいるような実技ってどういうことだよ。

「ルーピン、出来の悪いモンキーには気をつけることをお勧めしますぞ」

去り際にスネイプ先生がニヤリと私を見て鼻で笑う。うーわー感じ悪っ。しかしその場の空気もあるのでへらっと笑うと、ルーピン教授は気遣いありがとう、大丈夫さと爽やかに流した。これぞ大人の対応。

教授の誘導の元、実技の内容の説明が行われる。まね妖怪ボガートとかいう、人の一番怖いものに変身するびっくりオバケらしい。弱点は複数相手とかで、単純にあまり脳がなく混乱するらしい。教授に続きリディクラス、と呪文の練習をする。私発音あってるか怪しいから発動するかわからないが、いざとなれば物理でなんとかなるかな?私の恐怖によるか。

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