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「あんた、カードの送り方もわからないの?」

休暇が終わり戻ってきたサーシャとアリアから合わせて言われた言葉に苦笑で返す。ごめん、と謝ると、来年はちゃんとしてよね!とサーシャにぷりぷり言われてしまった。来年も送ってくれるのか。
片付ける2人から邪魔、と言われ、とぼとぼとぼっちで談話室に出ると丁度いつもの3人組がいた。華があるとやっぱりいいな、と頷くとロンから「また変な事考えてる」と言われた。この休暇でロンくんは私に遠慮が無くなっ……前から無かったわ。気のせい。

「ナマエ、大丈夫なの?」
「えっ何が?久しぶりハーミー」
「ええ、久しぶり。ハリーたちから聞いたのよ、あなた全然食べてなかったんでしょう?あと私あなたに謝らなきゃいけないの。ごめんなさい、2人からあなたのこと、その」

言いにくそうに、しかしどこか悲しそうに言葉に詰まるハーミーに、2人から?とその2人を見ると、いつかの夕食の場で見たような顔と空気を醸し出された。アーハン。逆に申し訳ない。

「あーあーいいの気にしないで。別に隠してるわけじゃないし」
「でも、食欲もないっていうし、」
「それどこ情報?」
「ハリーよ」

ハリーを見る。目をそらされた。ロンを見る。似合わない難しそうな顔でため息を吐かれた。なにそのやれやれみたいな仕草。食欲全開で悪かったな。

「多分それ休暇前半でしょ。大丈夫だよ、今はピンッピンしてるし、クリスマスだってがっつり七面鳥食べたよ」
「……ほんとうに?」
「本当に」

私がそんな気にすると思う?と笑いながら聞くと、それもそうね、と頷いて返された。それはそれでちょっと切ない。
そして夕食の場で無事にネビルとも再会し、チョコレートのお礼と何も送れなかった謝罪をすると、ネビルは笑って「ぼく、ナマエが死んじゃったのかと思った!」と言った。私どんだけ重症なんだ。もちろんご飯はお腹いっぱい食べた。

学校がまた始まり、校内がまた賑やかになる。周りの子達の話題はもっぱらキングオブキケンスポーツだ。あの箒に乗って飛びながらラクロスもしくはサッカーもどきをやるやつ。未だに発音出来ないなんて言えない。
なんでも危険スポーツの虜であるディーンの熱い語りによると、今回の審判を務めるのがスリザリン寮贔屓で有名なスネイプ先生らしい。あれだけスリザリン連呼されたら覚えられる。やっとか、とか言わないでくれ、身近じゃなければなかなか覚えられないもんだよ。私は特にだけども。
曰く「あのコウモリ野郎絶対グリフィンドールは勝たせないつもりだ!」、「相手がハッフルパフだろうがレイブンクローだろうが減点祭りだろうな」、「スリザリン相手じゃなくてよかったとここまで思ったのは初めてだぜ!」だそうだ。スネイプ先生めっちゃ悪印象すぎて笑う。
この子このスポーツになるとすごいテンションだなあと思いつつうんうんと話を聞きながらごはんを食べるため大広間に行くと、丁度ヒーロー、希望の的であるハリー御一行がいた。何やら3人もスネイプ先生の話をしている。教師の評判ここまで悪くて平気なの?主にPTA方面。
適当な席についてヨーグルトにカットフルーツを入れてヘルシーにすっきり食べていると、ネビルがぴょこぴょこ跳ねながら入ってくるのが見えた。新しい運動法?

「ネビルの奴どうしたんだ?」
「さあ。よく見えない。何かあったのかね」

とりあえず人が増えてきて入口側がよく見えないので首を伸ばしながらそちらを窺うと、ロンたちの声が聞こえた。

「またあいつか!」
「先生に言った方がいいわ!」

結構大きな声だったのでこちらにも当然聞こえた。ディーンと顔を合わせて首を傾げる。

「なにかあったみたいだな」
「毎日毎日色々あるねえ」
「…………あれ?ネビル、大広間から出ていくぞ」
「ご飯食べに来たんじゃないの?」
「さあ」

よくわからないまま最後の一口を口に入れ、英国流石の美味しさな紅茶を飲んで食事を終了させる。ネビルお腹空くだろうからなんか持っていった方がいいかもな、と適当にサンドイッチをナプキンに包むと、一緒にフライドチキンも入れられた。あとでお腹空くからって、おま、別に包みなさいよ。サンドイッチべたつくじゃん。とりあえずネビルも食べるかもしれないからとディーンの分と一緒に別にフライドチキンを包む。

「見つけた!」

「……今のハリーだよね?何見つけたんだろう」
「失くし物とかじゃねえ?」

よくわからないけど失くし物が見つかったんなら良かったねと2人で頷いた。
寮に戻ると落ち込んでいたネビルがおり、なんでも足縛りの魔法をかけられたとかで、グリフィンドールの勇気がどうたらと話してくれたが、寮に入るのに特にそんな勇者みたいなことを言われた記憶なんてさらさら無いので、とりあえずラフに生きようぜって言っといた。私あの帽子にガン無視されて中二病全開で話された覚えしかないぞ。まあ、ネビルはフライドチキンもサンドイッチも嬉しそうにしっかり食べてくれたからノープロブレムだ。

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