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毎年ハロウィンは何かしらの事件があったわけだが、今年は特に何も無く平和なハロウィンパーティーだった……らしい。私を除いて。何故かって?昼にマクゴナガル先生に個人的に呼び出されちゃったからだよ!罰則かとヒヤヒヤしてたら罰則じゃなくて進路相談だった。ある意味罰則の方がよかった珍しいパターン。

「ミスミョウジ、進路希望表を提出していませんね」
「…進路希望表……? ……アー、そういやあったな……やっべ提出期限切れました…?」
「提出期限は来年の夏学期までです。しかしミスミョウジ、現段階であなたを呼び出した理由がおわかりですね」
「グウ……」

ついぐうの音が出てしまった。クワッと見開いた目で見つめられる圧。断定の口調。ハイ……私みたいな生徒には早々に声をかけて早々に準備させる手厚いケアです…。
でもでも進路って言われたって魔法出来ないし特に希望は無いしっていうか希望どころか考えたくもない事だし。

「良いですか、今年あなたがた5年生が受けるO.W.L試験の成績は将来に大きく影響します。O.W.L試験の結果次第で6年次の授業レベルが決まり、N.E.W.T試験の成績で進路が決定するのです。しかしO.W.L試験で科目毎に設定された成績を残せなかった場合、N.E.W.Tレベルの授業を選択することすら出来なくなります。その重大さがわかりますね?」

いつかディゴリー氏に聞いたよりも詳しい試験内容にウッと嫌な顔になる。そうなんだよな…だからみんな必死で……とは思うものの私は別に希望する職種も何も無いので大変そうだなあとしか思えない。進路も何も、私が目指すのは将来の仕事ではなく帰宅だ。記憶吹っ飛び事件とか色々諸々あったけど結局はそこ。ずっとずっとかえりたい。しかし私の心の中身を知らないマクゴナガル先生は、私のけろっとした様子にため息を吐いた。心配かけてる自覚はありますゴメンナサイ。

「これは試験レベル毎に進路が分けられた冊子です。良いですか、諦めてはいけません。人はいつだって努力出来、努力次第では才能を凌駕します。私は長年教師をやってきて、驚くほどの成長を遂げる生徒を幾人も見てきました。あなたもきっと、その一人です」
「………あい」

そうかなあ、どうかなあ。曖昧に笑った私にマクゴナガル先生は「大丈夫ですよ」と言ってくれたが、私が”驚くほどの成長”をしたならそのときの私は大丈夫ではなさそうだ。






私は毎年、ハリーは今年特に多い減点罰則祭りだが、ハリーと私の違いはハリーの場合はアンブリッジも嬉々として罰則するところあるけど私の場合はスネイプ先生も普通に嫌がってるところだよなあ。嫌ならやめりゃあいいのに、でもスネイプ先生もいつまでも教卓前の私に付き合うの嫌だよなあ……と全ては私のせいなことを棚に上げて今日も大鍋をぐるぐる掻き回して洗って戻ると、談話室でハリーがしょぼくれていた。隣にはぼーっと宙を見るロンもいる。

「お疲れ、ハーミーは?」
「図書館にドッサリ山のような教科書を返しに行った。そしてまた分厚くて重たい本を借りて来るんだろうな」
「お、おう……ロンどこ見てんの?」
「ナマエ、ごめん、しばらく練習は中止だ。嫌だけど、止めたくないけど、中止なんだ」
「う、うん…」

ワカッタヨ……なんでそんな悲壮感溢れる顔してんのハリー。2人してどうしたんだ、っていうか手元のレポート大丈夫?それ薬草学のアホみたいな長さのやつじゃん。止まってる場合じゃない、そして私は人のこと言ってる場合じゃない。まあ薬草学はネビルに手伝ってもらってもう終わってるんですけどピース!

「毎日練習だって」
「仕方ないさ、勝たないといけないんだから」
「わかってるよ、スリザリンに負けるなんてありえない」
「ナマエも楽しみにしてろよ」
「来てくれるよね?」

なんの話してんだろ。主語くれださい。よくわかんねーがウンウンと頷いておいた。つまるところしばらくハリーとの魔法練習無しってことっしょ?睡眠時間がちょっと増えるってことっしょ?良い事しかない。

そして翌日からハリーもロンもアンジーも双子も皆箒を片手にヘトヘトどろんこで帰ってくるようになった。ここで危険スポーツのことだとやっと気づいた私であります。
しかも、今年は練習度合いの他にも様子が違った。まずマクゴナガル先生の宿題が減った代わりに魔法薬学と薬草学と呪文学の宿題がマシマシになった。でもノットくんに聞いたらスリザリンは魔法薬学減って他が増えたらしいし他寮も同じ様子。
さてここでネクストナマエズヒント!授業の共通点は──テロレロリン!そうさみんな担当教師は寮監!ウケる、失笑。ここまであからさまだともはや清々しい。いっそ皆平等に宿題減らしてくんない?無しでもいいんだよ?ダメ?ダメか……。

「おいポッティ、足元がお留守だz」
「おっとっどぅわわわ」
「うわー!」
「ナマエー!」

スリザリンは毎度毎度あからさまにハリーに嫌がらせをしてきよるわ。見知らぬスリザリン生が杖を向けてきたので滑ったふりして体当たりをかました。おいおい誰に喧嘩売ってんだオラァ。

「グリフィンドール5点減点よ!」
「は?普通に転びかけただけだが?見てなかったの?節穴?」
「あんたね…ッ!」

見てたらしい真っ赤な顔して怒るパンジーちゃんにぴっぴろぴー!全く監督生制度っていうのはつくづくどうかしてると思うんだよな。こういうときに公私混同で減点できるのはどう考えても問題でしょうに、リーダーとしての自覚云々と言うのなら明らかに人選間違ってるけどそこんとこどうなのよホグワーツ。うちのハーミーを見ろ、お手本みたいな監督生だぞ。普通に私からも減点するんだからな!いやそこはもう少し甘くて良くね?ハーミーさんマジで厳し……ハァ……。

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