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外は大雨で雨音がうるさくて、室内はカエルとカラスの大合唱で頭痛が痛い。かつてないほどの騒音の呪文学だしこんな喧騒の中で呪文が果たして通じるのか。1人1匹と渡された私のカラスちゃんはとっくのとうにどっかに飛んでっちゃって、大人しくしてる誰かのウシガエルをつつくことしか出来ない。杖先でちょっかいを出してはカエルにゲロゲロゲコゲコ鳴かれるのを繰り返しながらハーミーのアンブリッジの検閲の話に同意した。ハリーの手紙を見たいがためのやり方はキショいけど、とてもやりそうなことだ。……でもじゃあなんで私の手紙も検閲されてたんだ?単に糊の貼り付けが悪かっただけか?

「フィルチは生徒の権利のために頑張ったことなんてないものね」
「待ったハリーカエルが!」

ハーミーの考えた検閲方法に苛立ったらしいハリーの手の中でウシガエルたんがゲコゲコと悲鳴をあげて震えている。そっと保護すると、奴は私の掌を蹴って拒否してどこかに行ってしまった。これはあれかな、明日あたりにトントンと部屋をノックされて昨日助けていただいたウシガエルですの流れかな。ハリーは空になった拳を怒りのままダンッと机にたたきつけた。その手を保護してさする。傷つくぞ柔肌。

「昨夜は、ほんとに、ほんとに危機一髪だった」

ハーミーの言い方だと、昨日私が去った後の談話室でなにかあったようだ。でもハリーにちらっと見られて黙っとく。もしやいなくなったほうがいいか?と思い席を立とうとすると、シャツの裾を掴まれて止められたゆえ私は大人しく着席した。ついでにハリーから渡されたウシガエルを膝にのせる。うお…つめて……。嫌がるカエルの抗議の声はハーミーの完璧な黙らせ呪文によりミュートされた。

「もしアンブリッジがスナッフルズを捕まえていたら──」
「たぶん今朝、アズカバンに送り返されていただろうな」

エッッッッ。
ハリーが杖を振ってウシガエルが膨れた方を驚けばいいのかまさかのアズカバンに驚けばいいのかわからなくて一瞬混乱した。いやどっちもやばい。ウシガエルはハーミーが抑えてくれて落ち着いたけど、なんかもう心臓がバクバクした。
……アズカバン?スナッフルズって、あの、犬、のことだよな…?えっなに?あの犬そんなヤベー犬なの?アズカバンレベルってなに!?私そんな犬撫でたのか……道理でハリーがあんな驚いたわけだ。大丈夫だったかな、っていうかマジハリー何者なんだよ。やべー犬ペットにしてんじゃん。

「とにかく、シリ──」
「スナッフルズ」
「……ンンッ、スナッフルズはもう二度とやってはいけないのよ」

なにを?なにが?何か意味深な感じで3人から見られたが、私はアイコンタクトを通じて理解出来るようなことは何も無いぞ。首を傾げると、馬鹿にするようにカラスが鳴いた。カー!カッカァー!んだとゴラ!受けて立つ!

「シレんしオ!」
「カァー!」
「しっしれンしオ!」
「カァー!カァー!」
「このっ…シレ……ンン〜ッカァー!」
「なんでカラスに負けちゃうんだよお前は!」

そういうロンとてシレンシオを成功させてはいないんだが??っかしーなあ…いつもスネイプ先生にかけられてるから人よりはわかってるはずなんだし今回はいけると思ってたんだけどなあ……。ハーミーから発音と杖の振り方の指導を貰ったけど、まあ、追加課題は当たり前のように出されたよね。

朝から降りしきる雨足はどんどん強くなる一方で、廊下の窓から屋根を伝う川が見えた。嵐ってほどじゃないけど、すごい天気だ。ついでに休憩時間で使えるはずの部屋の中でもインクという雨がところどころに降ってるようなんですけどなぜなのか。嫌だよこんな部屋出ようよぉー!と駄々を捏ねても今や私よりもパワーのあるハリーに連行された。上のピーブズを警戒しながら椅子に座ると、「許可をもらったよ!」と元気の良い声がした。アンジーが太陽のような笑みでこちらに来る。ハリーとロンが揃って快哉を叫んだ。

「マクゴナガルがはダンブルドアに訴えたんだと思う。とにかく、アンブリッジが折れた。ざまみろ!」
「ほんとうによかった!」

危険スポーツチームは許可されて、アンジーは今夜7時に競技場と約束を取り付けて、太陽のような愛想を振り撒き去って行った。私はそっともちろん!と即答して喜ぶハリーたちと窓の外を見比べた。今夜7時に…この雨止むかな…?まさか土砂降りの大雨の中やるたぁ言わんよな…?

「あのさハリー、この雨の中やるの?」
「夜には止んでるよ。それに、悪天候の中でもいいプレーをするのがいい選手だよ」
「いつからそんな脳筋に゛ッッテエッッ」

不意に斜め上からベシッと何かが当たって私は床に倒れ伏せた。まだ私が話してる途中でしょうが!ぶつかった頭がとても痛い。これ絶対たんこぶ出来てんじゃん!と恐る恐る触れると、べっちょりとなにかが手に触れて……

「ナマエ、大変!」
「これは……血……?私の血ってこんなにどす黒いの!?」
「インクだよバカ!」

ウケケケッとピーブズが楽しそうに頭上で笑って私は覚えてろよ!と負け犬よろしくの遠吠えをしてからトイレにかけこみ、洗面所でじゃぶじゃぶ髪を洗った。ちなみに授業に戻ってから気づいたんだけど、ハーミーに消失呪文かけてもらえば良かったんだよね…。

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