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ヘドちゃんの怪我について話していたところ、戻ってきたハリーに意味深にチラチラと見られなるほどおっけーと察した私は先に地下に行くことにした。階段を降りて教室に入ろうとしたところ、デカいなにかに邪魔される。なんだなんだと見上げるとスリザリンの子だった。マルフォイくんとよくいる、……アー名前が出てこない。お付きの者みたいな子の片方。その子に邪魔をされ、私は何故か廊下に立たされた。ついでに他のグリフィンドール生も廊下に立っている。え、なに?なんで?グリフィンドール締め出し食らってんの?困惑していると、注目を浴びたマルフォイくんはいそいそと鞄から羊皮紙を取り出して広げて見せた。

「なにあれ?」
「なんの紙?」
「知らん。早く教室入りたい」

後ろから来たサーシャとアリアにトンと肩を叩かれ聞かれたけど私もわからんまま立っているのだよ。デカブツくらい押しのけなさいよ、とアリアに言われ流石の私でも無理と首を振る。そうこうしているうちにマルフォイくんの演説が始まった。演説っていうか演説風の自慢?みたいな。危険スポーツもやっぱ許可いるんだねーと聞いていると、マルフォイくんは階段の方に向かって声を張り上げ始めた。ハリー来たってことね、なんというわかりやすさ。しかし最近のハリーは沸点が低いし危険スポーツ大好きマンだから多分この挑発に乗りそう。ハラハラしてきた。

「父上は魔法省があいつを聖マンゴ病院に送り込むのは時間の問題だっておっしゃるんだ。どうやら、魔法で頭のいかれちゃった人の特別病棟があるらしいよ」

マルフォイくんが頭のいかれた人の真似をして取り巻きが笑った。これは流石にシャレにならない冗談だな、と思う。何も言えず傍観していると、ふと取り巻きの中で表情を崩さない男──ノットくんと目が合い、小さく首を左右に振られた。なるほど、ヤヌス・シッキー棟のことかと今理解した。抑えろみたいなこと言われてんだろうけど大丈夫で〜す。この程度で苛立つ精神はしてないというか、ノットくんに教えてもらわないと気が付かなかったんで。肩を竦めて返事をした。しかし、地雷は予想外のところにあった。

「ネビル、やめろ!」

ドンッと人にぶつかる音がした。後方からネビルが飛び出してきて、拳を振り回しマルフォイくんを殴ろうとしている。普段大人しいネビルが息荒く激おこっててびっくりした。必死で抑えてるハリーと目が合い、おっとやべえと私も慌てて間に入る。ネビルはマルフォイくんしか見えていないらしいから丁度間に立ってマルフォイくんの顔を見えないようにした。対象が見えなくなると落ち着くみたいなこと昔動物図鑑で見たことある。どうどう、落ち着きたまえ!
真正面から見たネビルは「マンゴ……やっつける……」とかいろいろぶつぶつ言いながら怒りで顔を真っ赤にしていて血圧がやばそうだった。そして私の背後のマルフォイくんは挑発をやめないし、なんならその矛先は私に来たらしい。

「な、なんだよ!ははぁ、聖マンゴ仲間が助けに来たってのかい?」
「仲間だと?」
「知らないのかポッター、モンキーは聖マンゴの常連だぞ」
「全てにおいて余計〜!!」

なんでこのタイミングでそういうこと言うかなあ!空気悪くする天才かよマルフォイくん!聖マンゴについて誰にも全く一切話してないしこの場において知ってるのはノットくんだけだ。ちょうど向かい合っていたハリーの目が見開かれていて、マジで気まずくてそっと目を逸らしたところでガラッとドアが空いてスネイプ先生がのっそり出てきた。

「ポッター、ウィーズリー、ロングボトム。喧嘩か?」
「スネイプ先生来るの遅いっす……」
「誰にものを言っているつもりだミョウジ!グリフィンドール10点減点!」

はいはい減点知ってた。



ハリーたちの視線は煩わしいしスリザリンでもなんかコソコソされてて煩わしいし教室内をアンブリッジせんせいがうろちょろしててなんかもうストレス。胃がゴロゴロいってる……いやこれは胃潰瘍とかではなく単にお腹すいただけだ。図太いかよ。
スネイプ先生が近くにいるのはいつものことだけど、アンブリッジとの会話はもう聞いてらんない。地雷原踏みまくってて怖くないんか!?メンタル強いな高等尋問官。こちとら「さよう」って言われる度にビクッヒヤッとなるわ。っていうかスネイプ先生ってDADA志望だったんだ、初めて知った。スネイプ先生は厳しめだけど生徒の安全面に関しては信頼出来る人だ、でもね、嫌だよ。ちょっとやさしいムーディならぬクラウチJr.先生みたいになりそうじゃん嫌だよ。魔法薬学は多分今年で私が離脱するからいいけどDADAは違うじゃん。ダンブルドア先生絶対一生承認しないで欲しい。そう思いながら青色の鍋の中をぐるぐるかき混ぜていると、バシィッとピンクおばさんと目が合ってウゲッてなった。

「あの生徒は何故1人で?そんなに優秀なの?」
「逆です、めちゃくちゃ出来ないんでスネイプ先生が面倒見てくれてます」
「発言を許可した覚えはない、調合に戻れ」
「ウッス」

返事した次の瞬間ボフンと音と煙を立てて鍋の中が蒸発した。……エ?え?どうして?ぽかんとする私の後頭部をスネイプ先生はボードでバシンと叩いて減点して反省レポートを言い渡し、アンブリッジせんせいは納得したように頷いてなにか書き込んでいた。ミョウジはめちゃくちゃ魔法薬学が出来ないって魔法省に報告されちゃうのかな……事実だな……。

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