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ハリーと話し合いをしたからか少し気分はスッキリしたけどやっぱりちょっと考え込んでしまい寝不足な日曜の朝、二度寝しようとゴロゴロしていたら部屋のドアを叩かれた。出るとハーミーがでっかいトートバッグを持って立っている。随分大荷物だな。ハーミーはアリアもサーシャも出払っている部屋に入ってきて、私の机の上にバッグを置き椅子に座った。バッグの中から毛糸の束とかぎ針が出てきて、そのまま渡され受け取った。

「なにこれ?」
「この図面通りに編んでちょうだい」
「……? ウス」

有無を言わさない雰囲気。なんかあったのか?とりあえずベッドに座って言われた通りに編み始める。この図面、多分マフラーだよな…?なんでだ。ハーミーはハーミーで何やら編んでいるし、なんか……なんだろうこれ?二度寝したい。

「あの、なんで急に編み物?」
「必要なの。早く編んでね」
「うん……?」

一体何に必要なんだ。臙脂色の毛糸は綺麗だし、肌触りもいい。ちまちま編み続けることしばらく、数回折り返したあたりでそれまで無言だったハーミーが突然話し始めた。

「ところで、セオドール・ノットと付き合ってるわけじゃないのね?」
「は!? ……鳥肌たった」

ハーミーにまで言われるとは頭が痛くなってくる。絶対ホグズミードで何かあったじゃん。これはもうノットくん確信犯だな…今度文句言ってやろ。マジでなんもないから、と念を押すと、ハーミーはわかっているというように頷いたものの、どこか安堵したようにも見えた。

「それならいいのよ。私から言えるのはそれだけ、さあ早くマフラーを編んでちょうだい」
「はあい」
「……意外と上手いし早いのね」
「ほんと?神の手のナマエって呼んでいいよ」
「調子に乗らないでちょうだい」

ハーミーは黙々とかぎ針を動かして次々と帽子を編んでいたし、私も言われるままに日曜はひたすら編んで過ぎていった。完成するまで編んでと言われ毛糸の残りとかぎ針を借りた翌日、談話室に降りようとするとなにやら女子たちが集まっていた。わちゃわちゃやってるとこに顔を出すと、なんと階段がない。

「……なにこれ?いつから滑り台になったの?」
「さっきウィーズリーが女子寮に入ろうとしたらしいわ」
「どのウィーズリー?」
「監督生よ」
「何やってんだロン……あっでもこれはこれで楽しい」

お先!としゃがんで滑り台を滑ると、ちょうど正面にロンがいた。女子寮の前で仁王立ちしてるのかなり目立つけど、ハーミー待ちらしい。よ、と片手をあげるとなんだか嫌そうにされた。隣にいたハリーに手を差し出され、その手を借りて立ち上がった。朝の挨拶をスムーズに交わせてほっとしたのは内緒。照れくさいしゃらくさい。私の後ろからハーミーが降りてくると、ロンは急いで彼女を掲示板の前に押しやった。私もハリーとそちらに行くと、なにやら新しい掲示が。掲示板の前には生徒たちが集まりザワついている。

「あ、あの新しい落し物ネビルのじゃね?」
「そっちじゃないよナマエ、ほらあれ、アンブリッジのやつ」
「……"学生による組織、団体、チーム、グループ、クラブなどはここに全て解散される"……3人以上の生徒……?やけに限定されてんね」
「お前がノットに話したんじゃないのか?」
「……どういうこと?」

ロンが恨めしげに私を見てくるからなんのこっちゃと首を傾げた。私がノットくんに何を話したんだ?んでもってノットくんが何を聞いたらこんな謎の令が出されんの?だいぶ意味わからん。ヘルプとハリーを見ると、ハリーは困り顔で頬を掻いた。

「ほら、一昨日の……でもわかってるよ、ナマエは絶対言わないって」
「なにを?」
「じゃあやっぱりあの中の誰かがあいつにべらべら喋ったんだ!」
「だからなにを?」
「ありえないわ。誰かがアンブリッジに告げ口したら、いいこと?確実にわかるの。そのだれかさんはとても後悔することになるのよ」
「マジでなんの話?」

なにもついていけないでござる。なにやら疑われたのはわかるけどなんなんだ。憮然としていると、ハリーが私の肩を軽く叩いて大広間へ促した。結局よくわからないけど誤魔化されておくとしよう。
しかし、アンブリッジせんせいも何を考えてるんだか。クラブを作るのに申請が必要とか当たり前だし今までもそうだったろうに、それを個人間のグループまで広げるなんてかなりやべー独裁的発想だよなあ。芋づる式に体罰のことを思い出し苦い気持ちになった。いかんいかん、切り替えないと一日中イライラしてしまう。思考を振り払うように軽く首を振ったとき、ちょうどハリーの手に未だ残っている傷痕が目に入ってやっぱりイラッとした。

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