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ただでさえ昨夜の件であまりいい気分ではなかったのにきしょい手紙で気分がさらに下がってしまった。サゲ〜萎え〜。そんな気分で大広間に入ると、これまたバシッとハリートリオの姿が目に入ってしまった。いいの?というサーシャをせっついて通り過ぎようとする。

「へぁっ!?」
「…………」
「いや、ちょ、えっ?」

しかし、後ろを通ろうとしたらガシッと手を掴まれた。捕まった。振りほどこうとしてもめっちゃ力強いし、えっなんかこれギリギリいってない?大丈夫?痛いが??ハリー離して?

「ダメ、ここにいて」
「いや待て今はちょっとだな、ほらあるじゃんこういう雰囲気察して」
「ダメ」

なんて強引!?危険スポーツやってるだけあるしそういやこいつ去年ドラゴン相手にガチンコしたんだったな…。よほど肝が据わってるしメンタルつよマンだわ。ほれ見たことかというような顔をしてサーシャとアリアには見捨てられてしまった。ハーミーがため息を吐き、ロンが諦めろと言う。なんなんだキミら訳知り顔だな。そりゃそうか、なんでも話す仲だもんね。

「話はハリーから聞いたわ。……まあそういうこともあると思うわ、すこし驚いたけれど」
「ハリーとナマエの喧嘩って珍しいよな」
「喧嘩って、わかってんなら、どうにかしてくれ!」
「ナマエ」

ハリーにグイグイ手を引かれても意地でも座らんと抵抗していると、ハリーはふと私の名前を呼んだ。目を合わせると、翡翠がゆらゆらと不安定に揺れる。

「ここに、いてよ」

…………。
………………、………。
……………………はあ、私の負けだな。

「……へいへい、わぁーったよ」

力を抜き、とすんと椅子に腰掛ける。別に仲直りしたわけじゃないし、むしろこれでナアナアになってしまったわけだけど、仕方ないね。
でも逃げないからいい加減手は離してくれない?私片手飲食とか高度なこと出来ないから。そう言ってみてもハリーは頑なに離してくれず、私はサンドイッチでそんなことある?ってくらい机を汚したし、ついでにアンジーとマクゴナガル先生の大噴火に巻き込まれてハリーのご機嫌ななめは加速した。大分ストレスだよなあと甘んじて受け入れたものの、ロンからハリーに甘すぎって言われたけどマジでそうかもしんないとちょっと自覚。気を引き締めねば、そう気合いを入れたけどまあ魔法とかは関係ないよね。
あのさ、液体を固めるとか無理すぎない?普通に考えて無理だよね?つまり無理ってことだってばよ。諦めているとフリットウィック先生は頑張りなさい!といっぱい応援してくれたものの、無理なもんは無理なんだってばよ。むすっとしているハリーの横で中途半端にスライムとなったぬっちゃぬちゃの色水を手の上で遊ばせながらそういえば、と口を開く。せんせーい、しつもーん!

「この前ダンブルドア先生に呪文とか杖とか使わない方がいいタイプかも、って言われたんですけど、そういうことってアリなんですか?」
「ダンブルドア校長に言われた?」
「ウス。相性が悪いとかなんとか」
「ほう、ほう、確かに……稀にそういった生徒はいます。一度試すと良いでしょう、しかし魔法族として呪文を知らない訳にはいきませんから」

やっぱダメかー。チッと心の中で舌打ちをして催促されるまま杖を握り直す。スライムはフリットウィック先生にまた液体へ戻され、私は延々とスライムを作り出した。出来るわけないってばよ。途中シェーマスがスライムを爆破させて大惨事になった。爆発させたのシェーマスなのに私もめちゃくちゃ怒られたんです遺憾の意!

さらに次の変身術では無理ぽよな上にアンブリッジせんせいがいた。シェーマスから宿題を受け取りラベンダーからネズミを受け取っていると、「ェヘンェヘン」と咳払いが聞こえる。ネズミの鼻先に人差し指を置いてくるくる遊んでいるとマクゴナガル先生に注意された。……えっマクゴナガル先生無視したじゃん!?これはめちゃくちゃ面白い予感。

「ェヘンェヘン」
「いいですか。私は通常、自分が話しているときに私語は許しません」

ウオーーッ!決まったーー!マクゴナガル先生ーーっ!我らがマクゴナガル女史ーー!
オーディエンスが静かに湧いた。グッと握りこぶしでディーンやシェーマスたちとグータッチをする。これにはハリーもにっこり。Foo!と密かに盛り上がっていると、アンブリッジせんせいと目が合ってうっとなった。

「ナマエ、顔」
「いやだって目が合っちゃってなんかキモ」
「ミスミョウジ、いいでしょう、前へ出てやってご覧なさい」
「ドオシテ!?」

別にマクゴナガル先生のことじゃないですよ!?と弁明したが、マクゴナガル先生は普通にわかっていたようで面白げに笑うのみ。つまり騙されたのは私だ…なんてことだ……。お早く、と言われた通り杖を構える。

「ちなみに出来ると思います?」
「やってみなければわかりません」
「先生いっつもそれ……えばネすこ! ……あっネズミ消え、エッ増えた……」

一瞬姿を消したと思ったネズミが2匹になってぽんと机にころがった。うそん。瓜二つの2匹を手のひらにマクゴナガル先生を見ると、先生はやれやれと首を振った。だから言ったじゃん無理だってばよ!!!でも大人しく手の上で撫でられてるネズミ可愛いな。

「ミッキーとミニーって名前にしよう」
「ネズミを飼うのはよせ」
「は?やけに反応するじゃん」

ロンそんなネズミ嫌いだったっけ?いや前飼ってたよな?そういやあのネズミどうし……ハッ死んで……ペットロスの前でペットの話題は地雷じゃん…反省。アンド黙祷。

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