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食後だし教室は薄暗いしであくびが止まらない占い学、宿題の夢日記を出しているとカタンと音がして突然教室がシーンとなった。みんなが見ている方向を私も見ると、ピンクがにょきっと教室に入ってきた。うわ…アンブリッジせんせいだ…。初査察が占い学かよダッル。そしてシビレル先生の顔が険しくなってなんか雰囲気険悪な様子。わかる仲悪そう。それを横目に近くにいたネビルとコソッと話す。

「どうしよう、僕毎晩夢なんか見てないよ。レポートもてきとうに書いちゃった…」
「多分全員そう」

主語デカで言っちゃったけど多分そうだから問題ナッシングだよ!グッと親指をあげるとネビルはそうかなあと首を傾げつつ頷いた。 シビレル先生は嫌そうにアンブリッジせんせいから目を背け、どことなく震えたような声で授業を始めた。予兆的な夢って正夢的なやつ?話したら効力無くなるらしいけど。2人組みを組めと言われたとき、ちょうどネビルと目が合いそのまま組むことになった。

「見てないからわからないのに、どうすればいいの?」
「てきとうでいいっしょ。記憶なんて曖昧なもんだし、うわやばこっちきた」

教科書をぺらぺら捲りながら顔を上げるとばちいん!とピンクと目が合いビビった。そのままこっちに来そうな歩みの方向にうわうわうわと焦っていると、逆方向から肩を叩かれて飛び上がった。ビビるわ!振り向くとシビレル先生だった。振り向いてレンズドアップもビビるわ!2段構えヤメテ!そして前門のアンブリッジ、後門のシビレル先生の構えは逃げられない。

「ミスミョウジ、ミスターネビル。いかがですの?」
「僕たち、これからです」
「ではあたくしが聞いて差しあげましょうね」
「あ、ウス、ドモ……んじゃ私から……えーとね、見たのは3日前、遊園地で遊ぶ夢だった!」
「1人で?家族と?」
「おひとり様で」
「何で遊びましたの?」
「エー……、ジェットコースターで」
「恐怖を?喜びを?」
「めっちゃ聞いてくんな……少し怖かったですかねえ」

私の答えをシビレル先生は逐一カリカリ書きながらうんうん頷き、そしてカッとデカ目を見開いて言う。

「大きな不安の流れですわね。何か、目の前に壁があるのでは?悩みというほど小さいものではありませんわ。どうしようもない八方塞がりなものを、ジェットコースターという勢いの強いもので様々な方向からぶつかろうとしているのだわ。よろしい」

「…………全部うそなんだよね?」
「うそなんだよなあ」

小声で聞かれたことに小声で返す。シビレル先生はなにやらワールドに入ってしまったようでジェットコースターだけでそんなに広がる?ってくらい話が続いてる。しかし嘘なんだけど微妙に当たってんのこっわ。これが、占い……!でも嘘なんだから十中八九偶然のはず。あとよろしいってなんだろう何もよろしくない。ふんふんそうなんですねーとシビレル先生の言うことをノートに書いていく。と、なにやら方向が怪しくなってきた。はいはいいつもの。

「ですから消える、壊れるなどの死を目の前にした恐怖心は、ジェットコースターというものを通してあなたの未来の勢いを見せている…なんてこと!あなた」
「死にますわよ?」
「……ええ」
「フッフー今日も絶好調ですねシビレル先生」

ごくりと生唾を飲み込み仰々しい雰囲気のシビレル先生にいつものノリで返すと「真面目になさい!」とまさかの減点食らった。目が点。ネビルがわたわたしながら「つ、次は僕です!」と声を上げて空気を変えようとしてくれたが、シビレル先生はキッと私を睨んだまま言った。

「あたくしはシビル・トレローニーでしてよ!」
「…………エッ!?」

うせやん!?びっくりしている私にシビレル先生あらためシビル先生はぷりぷり怒りながら、「お続けなさい!」と言って次の標的の元へ去っていった。私また名前間違えてた!?教授陣の名前で間違えずに覚えていられたのってもしかしてスネイプ先生だけ!?こ、これは…スネイプ先生のキャラの強さと名前の覚えやすさに感服するか私の記憶力の悲しさに絶望するかですよ。あわあわと震える私の肩をネビルが軽く叩いて、トレローニーってちょっと言いにくいよねと謎のフォローを入れてくれた。ありがとう優しい子……。



占い学の査察で予言がどうのとかこれまたちょっとアレなこと言い始めたアンブリッジせんせいの空気についていけないまま授業は終わり、次がDADAだと気づいてゲンナリした。予見だか予言だかよく知らないけどプロにいきなりタダで要求しちゃだめなんだぞ。っていうか2時間連続でアンブリッジせんせいか。まあDADAは睡眠時間なので…とお昼寝する気満々で廊下を歩いていると後ろからハリーが隣に並ぶ。
私を見下ろせる身長なのに、ハリーは少し屈んで下から上目遣いで私の顔を見てきた。ハリー・あざとい・ポッターその仕草どこで覚えてきたんだい。

「さっき占い学で変なこと言われてたよね、ナマエ」
「いつものやつじゃん」
「不安とか、壁とか」
「聞いてたの?エッチ〜」
「エッ…!?」

ハリーがびしっと固まったので15歳そんなに初だったかとこっちがびっくりした。後ろからハーミーが「からかわないの」と私を叱る。ついでに数占い学の宿題内容をこそっと教えてくれた。ありがてえ〜!忘れないように鞄から羽根ペンを出して腕に簡単にメモしようとすると、ハリーは羽根ペンを持つ手の甲をきゅっと抓ってきた。さっきの反応が恥ずかしかったのか少しムッとした顔をしている。

「心配してるんだよ」
「オウ……それはありがとう。でもね大丈夫ですよ、あれ全部うそだから」
「……ウソ?」
「そう嘘。なんの夢見たか覚えてるわけなくね?そもそも夢見たかもわかんないし夢日記ってそういうもんじゃん」
「それは……」

ハリーがロンと顔を見合わせた。ロンがアメリカンコメディみたいなふざけた顔で肩を竦めた。こっちもわざとらしくやれやれ…とため息を吐いてやる。

「ロン……キミは監督生だろう?ちゃんとしなよ」
「ナマエうるさい」
「占い学にそんな価値ないわ」

Ohハーミー今日もキレッキレだな。つまりそういうことってばよ。アタシら同類!ズッ友だょ!

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