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「高等尋問官ンン?」

昨晩パーシーから久々に来た手紙が最悪でクソ野郎あんなの兄貴じゃないとげきおこのロンに牛乳を差し出した朝食、パーシーの手紙曰くなんかの記事が今朝の新聞に載っているらしくそれを探して──という前に、でかでかと見出しを飾っているアンブリッジせんせいなのであった。ウインクすな。にしてもなんだか不穏な響きの役職名だ。ハーミーに続きを促し読み上げてもらう、と……なんともまあ釈然としない内容だった。つまり行政が子供ごと囲いこもうと本格的に動いてきたってわけ。憤慨するハーミー にもちつけと牛乳を差し出す。この記事でこれまた世が荒れる予感を察知した。そんな中ロンがニヤッと笑い、ハリーとハーミーに睨まれた。

「マクゴナガルが査察される日が待ち遠しいよ」
「どうして?」
「アンブリッジのやつ、痛い目にあうぞ」
「いよっ我らがマクゴナガル女史!」

たしカニ!声を上げて同意する。ロンとハイタッチをしてうけけとマクゴナガル先生にやりこめられる姿を想像し笑った。こういうときダンブルドア先生よりも強いイメージのある安心安全なマクゴナガル先生なのである。


さてさて、アンブリッジせんせいの査察はいつからはじまるのかわからないから、私たちは早目に授業に向かったものの、魔法史にも魔法薬学にもアンブリッジせんせいの姿はなかった。まあ5年なんて中途半端なところから回らないか。7年か1年から順繰りに回ってくるんではなかろうか。

「諸君のレポートがふくろうであればどのような点を貰うかに基づいて採点してある」

そう言うスネイプ先生に返されたレポートの点数を私は二度見した。え。……えっ!?エー!?
今週の宿題の内容とかもう何も入ってこなかった。試験に基づくなら普通にDかと思ってた。うせやん。羊皮紙を宝物のように鞄にしまう。これは…飴と鞭ってやつか…?なおその後の調合はお察し。レポートは良くても実技がだめ、イコールだめだからうん、やはり今年でもう地下室に来ることはないな。
先に教室を出た3人とは大広間で合流した。ハーミーがなにやらぶつぶつと話していて、ハリーが不機嫌そうな顔をしていて、ロンは……昼飯のことでも考えてんのかな?

「そりゃ、もし”O”をとってたら私ゾクゾクしたでしょうけど」
「おー?」
「ナマエ!」
「うお」

なんだOって、と声をかけるとハリーから勢いよく抱きつかれた。ぐりぐりと肩口に頭を押し付けられ、ぽんぽんと撫でておく。どうしたんだいハリ太くん、今日もスネイプてんてーにいじめられたのかい?

「ナマエは宿題どうだった?」
「フッ……これを見よ……」

ハーミーに聞かれて、鞄からそそそと紙を出す。この印籠を見よ!バッと掲げると、ハーミーの目が見開かれて、ロンの口があんぐり空いて、ハリーが「えっ!?」と声を上げた。

「うそでしょ、ナマエが!?」
「失礼な……これでもレポートは大体AかBかCかDだっつの。でも魔法薬学では初めてなんだわ…さすがにビビったよ……」
「なんだって、ナマエがAだって!?」
「うおおどっから出てきた!?」

いきなり横からにょきっと赤毛が生えてきてこっちもビビった。ロンの兄貴の双子がありえない、オーマイガー!とかなんとかオーバーリアクションで私のレポートを見る。失礼な……でもその気持ちわかる。今日もドレッドがキマっているリーが「実技は?」と聞いてきたからそっと首を横に振った。途端に笑顔になる双子。うるせーー!
最上級生曰く、成績はO、A、E、P、D、Tの順番で悪くなるらしい。最高成績Sかと思ってたからおー、大いによろしい、なるほどね!と納得した。ダジャレかい。そしてついで情報に彼らの呪文学に査察が入ったらしい。やっぱ上から、ということは来週あたりにはこっちに来そうだ。ふむふむと聞きながらサラダをもしゃもしゃ食べると、双子の片方が私を見て肩を竦めた。

「スネイプの魔法薬学をパスするのは特に厳しいけど、レポートでAとれたなら実技成功すりゃEだって夢じゃないぜ」

エッ。ピシッと身体がかたまった。わ、わたし…励まされてる……!?でもぶっちゃけもうやめる気満々なんだよね。ごにょごにょ誤魔化してへらっと笑うと、横からもう片方に肩を組まれる。

「しかし意外だよなあ、ナマエはTだと思ってたぜ」
「はいはいトロール。Mじゃなくて?」
「M?」
「モンキー」

これ、双子とリーには大ウケで大爆笑だったけどハリーからは「ナマエ、やめて」と強く言われてしまい口を閉じた。そ、そんな悲しい顔しないでよう。英国人はブラックジョーク好きだと思ってたけどハリーは違うらしい…気をつけます…。

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