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「おっふ私の今年終わった」
「バカなこと言わないで」
「最悪だ」

ハリーたちが危険スポーツの話で盛り上がっているのを横目に配られた時間割を見て頭を抱えた。マジむり。今年もうダメだ。絶対落第する。むしろしなかった今までが奇跡だったんだけどさ。でも今年はマジで無理だと思う、ガチで、本気で、本当に。宿題のレポート間に合う気がしない。魔法史魔法薬学占い学DADAが一日に集結するってなに?そんなことある?私なんで占い学選択したんだタイムスリップ出来るなら過去の私に切実に占い学はやめろ!!!!!!って言いたい。勘弁して。うわあ〜もうダメだぁ〜!机に突っ伏した私の背をハリーが優しく撫でてくれるが、今の私にハリーセラピーは効かないらしい。しかもよそから追い打ちが来た。

「5年目はOWL、つまり普通魔法使いレベル試験の年である」
「ギャーーーッッ」
「うわうるさっ」
「いやいや、ナマエの反応の方が正しいぜ」
「俺たちの学年じゃふくろう試験が近づくと半数が軽い神経衰弱を起こした」
「キェーーーッッ」

ガッと肩を組まれ、耳元で女子生徒がしょっちゅう気絶しかかったストーリーを聞かされて白目剥くかと思った。なんだこのテロ。慌てて手を払い近くにいたロンの後ろに隠れる。どっちかわからんが双子め!ロン君の兄貴だろなんとかしろ!そんな私の反応をテロリスト双子はとても楽しそうに見ていた。

「っていうか、どうしてナマエはそんな反応してるんだ?ハリーのことは知らないくせにふくろう試験のことは知ってたのか?」
「ああ、去年ディゴリー氏から聞い……おっと……ごめん……」

話してる途中でハリーに手を握られてハッとした。ここだけ周囲がシンとしてなんかちょっとしんみりモードになってる。やっちまった。証人保護プログラムのことすっかり忘れてたわ……いやほんとごめん……。久々にYMKをやってしまった。空気読めないモンキー。

「……まあ、その、アレだ。とにかく、今年一年は5年生にとっちゃ悪夢ってことだよ」
「テストの結果を気にするなら、な」

肩を竦めて双子のどっちかが軌道修正をしてくれ、それにもう片方が乗っかった。さらにいもり試験の話もし始める。でもいもり試験は私たちの学年からしたら2年後の話だから、私はそれを凪いだ心で聞いた。2年後には帰れてるだろ!人はそれをフラグという……いやシャレにならんやめろ。
双子は卒業後、悪戯専門店を開業予定らしい。そのためのニーズ調査で学校に戻ってきたんだとか。ハーミーとロンは金策について聞いてたけど、雰囲気的にアテもあるらしい。ちゃんと真面目に考えてんだなあ。こういうタイプ、厄介だけど案外上手いことやるんだよなあ〜要領がいいというか回転が上手いというか。
双子の話に触発されたのか、3人は将来の話をし始めた。おーらー、と以前にも聞いたことある名前の職業にロンは憧れているらしい。魔法界のエリートがなるとかで、花形職らしい。一方でハーミーは具体例は出ていないものの価値のある仕事がしたいとごにょごにょ言っていた。ウンウンいいね未来は明るいねえ〜。微笑ましく話を聞いていると、くるっとハリーが私を見た。

「ナマエは?」
「……え?」
「ナマエは、卒業したら何したい?」

ハリーの問いに喉元がグッと締まる感覚がした。謎の緊張が体に走る。背筋がひやっとして、世界が止まったような気がして。
卒業したら。卒業したらって、考えられるわけが無い。それを考えてしまったら、マジでフラグだよ。そんなわけないじゃん、そもそも将来もなにも私はもういい大人だ。若返りしたのは嬉しいけど、子供の体に入るってのとそれは違う。

「あー…私はあんまり……」
「どうせなにも考えてないんだろ、ナマエのことだから」
「い、いやぁー……はは……」

首の後ろに手を当てて無理矢理笑みを作った。ハーミーがあっという間なんだからちゃんと考えなさい、と言う。その通りなんだけど、そうなんだけどさー……ねえ……。

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