れもんすかっしゅ

「青峰っち!」
「・・・んだよ黄瀬」


貴重な貴重な昼休み。
屋上で昼寝をしていた青峰のもとに現れた黄瀬がやかましくすがってきた。


「聞いてくださいっス!ひどいんスよ〜、黒子っちがぁ」
「またか!どーせお前がキモイこと言って、テツをどん引きさせただけだろ」
「そんなことないっス」
面倒だがどうせ嫌でも話を聞かされるに違いない。
そう思った青峰は体を起こすと、あぐらをかいて伸びをした。


「オレ、正直に言ったんスよ」
「なにを?」
「『黒子っちが男でも抱ける』って」
「死ね」
「ちょっと!青峰っちまで同じこと言う!?」
テツにも同じこと言われたのか・・・、とその言葉で青峰は色々と察することができた。
「誰が聞いたってそりゃ同じこと言うと思うぜ」
「むー・・・」
文字通り、むっと顔を歪ませて黄瀬は考え込む。
「なにがイケナイんスかね」
「顔?」
「はあ!?この超イケメンの何がダメなんスか?」
「だからそーゆーとこがダメなんだよお前は」
あくびまじりに返す青峰に対し、黄瀬は腕を組んでさらに考える。
「・・・黒子っちって、絶対顔で人を選ばないっスよね」
「どうしてそう思う」
「モデルの直感」
「モデルいらねーだろ」
「うーん・・・」

降参といったように、空を仰ぐ黄瀬。
言うことも無いので、互いにしばらく黙り込む。
青峰がそばに置いておいた紙パックのお茶をずずずっとすすると、柔らかい風が吹き抜ける。
なんとなく視線を投げると、黄瀬の金髪がサラサラと風に揺れていた。
「・・・」
その姿に、不覚にも青峰は少し見惚れてしまった。
だから気が付くと、一体どういう心境からきたものなのか。
「?青峰っち」
青峰は黄瀬の髪に触れていた。

不思議そうに、黄瀬がぱちぱち瞬きをする。
「・・・いんじゃねーの別に」
「なにが?」
「お前らしくて」
「だからなにが・・・」
「そんくらい自分で考えろ。モデルだろうがッ!」

きょとんとする黄瀬の頭をガシガシと乱暴に撫でて、青峰はそのまま立ち上がる。
「もう・・・モデル関係ないっスから〜」
乱れた髪を正しながらぼやく黄瀬。
そろそろ昼休みが終わる時間だ。

「黄瀬」
「なんスか?」
「うぜえけど、オレはお前のそーゆーとこけっこう好きだぜ」

その一言に、黄瀬の表情がみるみるうちに変化していく。

そして嬉しさがマックスになった時、なんとも言えない興奮した顔でその場から勢いよく立ち上がって黄瀬は告げる。

「オレ、青峰っちになら抱かれたい!!」
「死ね」
「やっぱりそうなるんスか!?」

死ね、とか簡単に言っちゃったけど。

そんな青峰の口元に浮かんだ笑みになんて。到底、黄瀬は気づくはずがないのである。




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