幸せのエピローグ






夕焼け空がイーリスの街を赤く染めている。





「街が燃えているみたいです……でも、とても綺麗………」





ルフレは胸一杯に空気を吸い込んだ。





爽やかな風が体も心も満たしてくれる。




ルフレはイーリスが好きだ。




かつての聖王、エメリナが愛し、今は新たな聖王クロムが治める、平和を愛する国。




そして今、平和の訪れたこの世界で、愛する彼とともに暮らしている。





私に無かったたくさんのものをくれたこの街が私は大好きです、といつかルフレが言っていた気がする。





町の赤が暗くなり始めた頃




「さあ、良い子は帰る時間だよ」




優しい声でそう言う子供達の親は子供達を暖かい料理を用意して待っている。




記憶にないだけで、私にもあんな時期が、あんな頃があったのだろうか。





その答えを知るものはもう、誰もいない。







街角のあちこちで子供達の「また明日ねー!!」という声が聞こえる。





子供が元気なのは何よりだ。





走っていく子供を見つめ、ルフレは微笑みながら自身の下腹部をそっと撫でる。





大きく膨れ上がるそれはルフレの中に宿るもう一つの命の存在を主張していた。





「あんな風に、元気一杯に育ってくださいね、マーク………」






かつてまだ、戦争をしていた頃。





ルフレの息子だと名乗る少年がいた。




父親譲りの髪色に、母親譲りの能天気。





穏やかで、純粋な少年だった。






やがて戦争が終わった後、彼は愛する者と二人で旅に出て行った。





今もきっとどこかで彼女と笑って過ごしているだろう。





今、ルフレのお腹には。


この時代のマークがいるのだ。









「マーク、早く、貴方に会いたいです…….」







優しく撫で、ルフレが語りかけていると






「ルフレ」







彼女の愛する旦那がこちらを向いて笑っている。





ルフレはその身体になるべく負担をかけない様に彼の元へ行った。






「家に帰ろう」






そう言って差し出された手をルフレは優しく握り返した。





*****
旦那さんはあなたのお家のマイユニちゃんの旦那ですよ、と言いたいのですがもしかしたらクロムの場合は文が違和感あるかもしれません。でも安心してください。ころんの小説とは別の本データのルフレの旦那はクロムです(






  
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