外伝1 弱き者、それは





ここは、イーリスの辺境にある村……







「お、お願いだべ!おらを助けてくだせぇ!」


1人の少年がクロムの元にやって来た。


「どうしたんだ!?」


「おい、待てよオラァ!

……げっ、あんたらは…」

「……どうした、かかって来ないのか」

「ちっ……」


少年を追っていたならず者は逃げ帰る様にして去ってしまった。



「大丈夫か?」


「あ、う、えと、えと………」


「落ち着け。


…名前、言えるか?」


「ど、ド………ドニ、だべ。

そこの村に住んどる……村人だべ。」



「そうか、ドニだな。

何があったか説明してくれ。」



ドニと名乗った少年は順を追って説明し始めた。


自分達の住んでる村にならず者が襲って来た事。

自分以外の仲間は捉えられた事。


そして

「おら、母ちゃんを助けたいべ!

でも、おらは弱いべ…

せめて、おらがあんたら位強かったら…!」


「なら、これから強くなればいい。

初めから強いやつなんて居ないんだ。

お前のその強くなりたいって気持ちがある限りお前は強くなれる。大丈夫だ。さあ、俺たちと行こう。」


「ああ…おら、頑張るべ!!」


ドニは、青銅の槍を握りしめて力強く頷いた。



「リズさん、なるべく敵の攻撃対象に入らないギリギリで待機を心がけてください。」

「りょーかい!」

「フレデリクさん、ドニさんのサポートをお願いします。」

「分かりました。」

「お、お願いするべ…」

不安そうなドニに、クロムは方をぽん、と叩いた。

「大丈夫だ。俺たちがサポートする。行くぞ。」

「んだ!」




「村から出ていくべ!」

「ぐあっ!」

「仲間を返すべー!!」

「うあっ!」


「す、すごいです………」

「言ったろ、強くなりたいと願えば誰だって強くなれるんだ。」

「はい……」



ドニは村人なのに、本当にたくさんの敵を倒し、戦ってくれた。


しかし…



「この野郎がぁっ!」


「のわあっ!」


「ドニさん!!」


「…うう、やっちまったべ…」


「ドニ、無理するな!下がるんだ!」


「うう…クロムさん、すまないだ……」



敵の一撃に負傷してしまい、撤退を強いられてしまった。









「村を救って下さってありがとうございました…」


「クロムさん、おら、あしでまといになってすまなかっただ…」


「顔を上げろ、ドニ。お前は十分強い。
その強さで、村や母さんを守ってやれ。」


「ああ…そうするべ!
ありがとうだべ、クロムさん!」



去っていくクロム達に、ドニはクロム達の姿が見えなくなるまで手を降った。






  
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