3章 戦士の王国





「なあ、ルフレ……やっぱお前拗ねてるだろ」

「拗ねてません。クロムさんには関係ありませんから

……少しくらい、相談してくださいよ。
私だって役に立ちたいのに」


ルフレは勝手にさくさく進路や作戦を決めるクロムに少し腹を立てていた。


「ルフレだって軍師なんだよ?

記憶喪失で辛い上に、皆の命を守りながら自分も戦ってるんだから。
そういう会議くらい出席させてあげたら?」


ソールがクロムにそう言った。

ルフレはやっぱりソールは分かってくれるとキラキラした目で見ていた。



「だからその時間に少しでも休ませてやろうと……」


「あのね、クロム。いいかい?

普通行軍は軍師と相談して決める物なんだよ?

その休ませてあげたいって気持ちがあるのはいいんだけど……」


「……分かった、分かったよ。


……早速だがルフレ、ここの進路は……」



切り替え早いな。







とまあ色々ありつつ一行が道なりに進んでいたところ。


「ねえ、あそこに何かいるよ?」


リズの指差す先には


「………」



一頭の怪我をしたペガサスがいた。


「ペガサスか?怪我をしているな。どれ、見せてみろ。」

「あ、クロムさん!ペガサスは男性を……」


ルフレが言いかけたその時。


「ひひーん!!!」


ペガサスが暴れ出した。



遅かったか………




ペガサスは、男性を嫌うのだ。

そのため、天馬騎士団は全員女性で構成されている。


「くっ、落ち着け…!」

「クロム様!」


と、そこにスミアがやって来た。



ずさぁん!


「だ、大丈夫かスミア?」

「すみません、私ったらいつもこうで…」


やはり転びながら。



「スミア、危険だ。下がった方が」

「いえ、クロム様。大丈夫です。

ほら、怖がらないで。
私の目を見て、ゆっくり……」



すると、先ほどまで暴れていたペガサスが一瞬にして大人しくなった。



「すごいじゃないかスミア。」

「はい、この子に気持ちが伝わって良かったです。


クロム様。
私はこのこの手当をしてから行きますから、先に行っていて下さい。」

「しかし…」

「うふふ、大丈夫ですよ。」

「そうか、分かった。」


クロム達は先にフェリア連合王国に向かう事にした。














フェリア連合王国は北にある国で、雪が降っている。


「さ、寒いよフレデリク…」

「リズ様、私を盾にお使い下さい」




フェリアとイーリスの国境にやって来たのだが…



「クロム様、様子がおかしいです。
フェリアは臨戦体制に入っております。」

「何?」



「我々も戦闘体制に入りましょう。」


「ああ、そうだな。」












「何でだよ!!」

ヴェイクの叫び声が響く。

「斧を落としてミリエルさんに迷惑をかけた罰です!貴方は今回下がっていて下さい!!」


暴れたいだのあーだこーだいっているヴェイクには今回は大人しくしてもらう。

「では、残りの皆さんで出ましょう。」




皆が配置についた時。



「何者だ!」


この城を守る者がやって来た。


「俺達はイーリス聖王の代理だ!」

「イーリスだと?貴様らが噂の賊か!」

「賊?」

「近頃、イーリスの者だと騙る賊が現れている。お前らだな」

「そんな…この方は正真正銘エメリナ様の弟君ですよ!?」


「はっ、王族と来たか…王族騙りは死罪だぞ!

本物のイーリス王子は腕が立つと聞く!

貴様らが本物かかかって来い!」




敵は一斉にクロムめがけて手槍を投げて来た。


「くっ……!」


クロムに当たる寸前で。




横から現れた天馬騎士がクロムを乗せて上空へと飛んだ。



「……お怪我はありませんか、クロム様。」


「スミア……ああ、大丈夫だ。」

「…良かった……」

「…………はっ、くるぞ、スミア!」

「はいっ!」



クロムはスミアにしばし見惚れていたがやがて戻ってきた。


「スミア、俺のサポートを頼んだ。」

「はっ、はい!」


クロムはそのままスミアのペガサスに乗った状態で左側の扉を攻めに行った。


「弓の攻撃からは、俺が守ろう。」

「ありがとうございます、
クロム様……」


ようやくクロムにもダブルしてくれる相手が来たか。


私は安堵のため息を吐き、魔道書を握りしめた。









クロムが雪原で立っていると


「ん?誰かいるのか…」

「僕は此処だよ……クロム…」

「!?誰だ!」

クロムが振り返ると

「だから僕だってば……」

「カ、カラム!?」

カラムが立っていた。

「僕も自警団の一員だから…クロムを追ってやって来たんだ…」

「そうだったのか、気づかなかった、すまん」

「いいよいいよ、僕影薄いから…」

「しかしよく気づかれなかったな?」

「影が薄いから、敵も気づいてなくて……」

「….………そ、そうか。」


カラムが仲間に加わったのでミリエルにサポートしてもらってその力を見せてもらおうか。







「私は右側の扉を攻めましょうか……」


と、そこへ


「ルフレ、良かったら僕の馬に乗る?」

「あ、はい。ありがとうございます、ソールさん。」


ソールの好意で馬に相乗りさせてもらった。


移動範囲が広くなって助かるなぁと考えていたら



「……囲まれちゃいましたね」
「囲まれちゃったね…….」


敵が襲いかかってくる。


「っ!……いたたた….」

ソールが庇ってくれているおかげでルフレは無傷なのだがソールがだんだん怪我を負っていく。


「大丈夫!?」

リズがとっさに駆けつけて回復してくれたおかげで体力も回復した。


「ふう、ありがとう、リズ。

……さあ、やられた分はやり返さなきゃね!」


その後ソールは攻撃を交わしては敵に鋭い一撃を叩き込んでいった。



左側と右側の扉を同時に開く。


周囲の敵を倒した後、ボスのアーマーナイトをミリエルとカラムが連携して倒した。


ソワレとヴィオールに勝るとも劣らない連携だ。



「申し訳ありませんでした。直ぐにイーリス王子の来訪をお伝えします。王都までは私が案内いたしましょう。」



最初との態度の違いにえらく一同は驚いた。


「それだけ、フェリアにとって強さは重要なんでしょう。」


一行は案内人のライミの後を追った。









  
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