今日の食堂事情

「はいっ今日はトアルカボチャのスープだぞー。お好みでトアルチーズもかけてな!」
「はーい」
「ありがとう!」
スープをよそり、一つずつポポとナナに渡してやる。自慢のお手製スープを持ち笑顔で席に着く無邪気な双子。何だか微笑ましい。
故郷のカボチャを使ったスープはとても好評で、今日も多めに作った…はずなのだが予想以上に減りが早い。
皆もの凄い勢いでお代わりに来るものだから、結局自分は食事の席に着けずにスープをよそる係として鍋の前にずうっと突っ立っている。
並んでいた列がようやく終わったかな…と思うも束の間、スープの皿を持ってこちらへ向かってくる人影が。トゥーンだ。
「はい、お代わりちょうだい!」
「げっ、お前何杯目だよ…もうなくなっちゃうって」
「たぶん六杯目くらい?でもいいじゃーん。だって美味しいんだもん」
トゥーンが駄々をこねて膨れっ面になる。料理を作る側としては嬉しい一言なのだが。スープの残り的によそってやるのが難しい。
「そうだけどさ、あとデデデとカービィが風呂から戻ってくるから、相当残しとかないと……」
「じゃぁダメ?」
「んー……」
つぶらな瞳でじいっとこちらを見つめられる。なかなか反らすことができない。自分でも相当苦しい表情をしているのが分かった。
「…仕方ないな、トゥーンで最後だぞ」
「やった、ありがと!」
大きな目をきらきら輝かせた小さな勇者は、鼻歌混じりに席に着いた。

スープのお代わりは終了ー、と皆の座るテーブルに向かって叫ぶ。各々「えー」とか「もっとのみたかったのに」とかいう声が聞こえた。好評だったことを確認できるのは、作った身としてはちょっぴり嬉しいものだ。
俺もようやく席につけると思ったその時、
「リンク、デザートはー?」
「ぴかーっ」
先に食べ終わったサムスとピカチュウの催促の声が耳にはいった。
「……うん、今リンゴ剥くから待っててね。」
苦笑いで返事をし、思わずため息。
ここで「セルフだ、好きにしろ!」と言えない俺が悪い、と思いつつ勝手口に置いたリンゴの大量に入った箱を探しに行くのだった。

その後フォックスがリンゴを剥くのを手伝ってくれたんだが。結局カービィとデデデが返ってきて、お代わりの嵐(あらかじめ多めによそったのに!)。俺の夕食はみんなより一時間遅れだったことは…言うまでもない。



end.
‥‥‥‥‥‥‥‥

おまけ
「おかしいな…なんで料理のことに体が勝手に動くんだろうな」
「普段の行いのせいじゃない?故郷ではよく料理作ってたみたいだし、腕が落ちなくていいとおもうけど」
「…フォックス、それは俺をねぎらってるの?俺に料理を作らせたいの?」
「んー、どっちもかな」

トワプリリンクは家事とか身に染み付いてて勝手に体が動いてるといい、っていう妄想から。
初代組は仲いいに違いない!

08.0901くらい


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