Interval 1
「…っ、…ね」
…声?
「…あかねっ…」
聞いたことのある、幼い声。
これは…。
「…あかね、起きた?」
視界いっぱいに覗き込む、四、五歳位の、白髪の目立つ、幼い少女。
「ン、」
蒐と呼ばれた、同じく白髪の少年が、短く返事をすると、少女は、
「おさんぽ、行こ?」
無邪気に笑顔を見せて誘う。
だが蒐は、
「面倒臭ェ」
少女に背を向けると、また眠ろうとする。
「あーかーねーっ!行こーよー」
蒐の体をガクガク揺らし、耳元で騒ぐ少女。
うるせェな、と思いつつ、でもその内諦めるか、と少女を無視し続ける、蒐。
「もー、いいもんっ」
少女はぷくっと頬を膨らませると、
「あたしひとりで行く」
言うや否や、戸口に走り出した。
「…ッ、オイ待て、葵ッ」
蒐が慌てて立ち上がり、葵と呼んだ少女を追いかける。
ドアノブに届かずぴょんぴょん跳ねているその手を掴むと、ドアを開ける。
「やっぱりあかねも、行くの?」
葵は紅い瞳を向けて訪ねた。
「気が変わッたンだよ」
そして嬉しそうに歩き出す葵に引かれるように、蒐も早足で歩き出した。
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