3
僕を家へと招き入れた政明様は、温かい紅茶と見たこともない西洋のお菓子を僕に出してくれた。
空腹だった上初めて食べるお菓子に興奮し口いっぱいにお菓子を頬張る僕に、好きなだけこの家にいていいと言う政明様。
しかしそれはいくらなんでも申し訳ないと思った僕は、政明様に使用人として家に置いてほしいと懇願した。
今さら何処に行く当てもない僕だ。
僕を拾ってくれた政明様の為に、少しでも何か役に立つ事をしたかった。
「松田さん、白のワインに合うおつまみを何か作ってもらえませんか?」
「一葉さん、はいわかりました。」
あれから約7年、僕も16になった。
この屋敷では一番長い使用人として、最年少であるにも関わらず他の使用人達も僕には一目置いてくれている。
それが僕には嬉しかった。
だって、まるで政明様に必要な人間だと認められたみたいだから。