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僕が政明様の想い人、三野一樹様にお会いしたのはそれから間もなくのことだった。
その日は珍しく政明様が酔ってお帰りになり、そんな彼を家まで送ってくださったのが三野様だった。
「久しぶりに会ったからついつい飲みすぎちゃって…。すまないが政明の事よろしく頼むよ。」
写真に写っていた頃の幼い面影は鳴りを潜め、大人の男らしい精悍さとどこか危うげな色香を纏った彼の姿に、瞬きすることも忘れ見惚れていた僕は、その言葉にハッと我に返った。
「は、はい!お任せ下さい!!」
焦ったような僕の姿に微笑むとコートを翻し待たせていた車に乗り込んだ彼は、ドアが閉まる寸前にもう一度政明様へと視線を向けた。
政明様を見つめるその瞳の熱さに、知りたくない事を知ってしまいそうで僕はそっと視線を外した。