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>政明様に愛撫されながら名前を呼ばれるたび、僕の身体の奥底から何か熱いものが込み上げてくるのを感じていた。
それは今思うと愛しいという感情だったと思う。
その感情の赴くまま、政明様の名前を呼び、彼の背中へと手を伸ばした。
「ーーず、きっ!」
やがて政明様が僕の中で弾けると同時に、僕を強く抱きしめながら耳元で何か囁いた。
しかしそれどころではなかった僕は、その言葉を聞き取ることはできなかった。
嵐のような激しさの後はただただ優しい時間が流れた。
政明様の胸に抱かれながら眠りについた僕は、心の中が暖かいもので満たされるのを感じた。
幸せだ、と思った。
その日から僕は政明様に度々抱かれるようになった。
政明様はいつも優しく、ベットの中ではまるで恋人のように僕に接した。
だから勘違いしてしまった。
ーー自分は愛されているのだと。