本来は自分の役目なのに、政明様に抱かれた次の日はとことん彼に甘やかされた。

それを申し訳ないと思いながらも、正直嬉しかった。


まるで大事にされているようで…。


(あの方の代わりではなく僕自身を…)


そう思った時ふと部屋の隅にあるごみ箱が視界に入り、そこに捨ててある紙が何故かひどく気になった。

くしゃくしゃに丸められ捨てられている姿は不自然で、僕はなんとなくそれを手に取り広げてみる。



「―――っ!?」



そこには『婚約披露パーティー』という文字が…。


「ついにこの時がきたって感じかな。」


背後から聞こえてきた声に振り返ると、そこには眉を下げ苦笑いしている政明様がいらっしゃった。


「政明様…。」


「まぁいずれは…と思っていたけどね。昨日の夕方彼と会った時にもらったんだ。」


そう言って窓の外を見つめる政明様に、昨夜激しく求められた理由が解り胸が締め付けられた。


(あぁ、やっぱり政明様はまだ…)


自分が大切にされてると思うなんて、思い違いも甚だしい。


(だって政明様はこんなにもまだ、あの方の事が好きなんだ。)



『三野家・朝倉家 婚約披露パーティー』



くしゃくしゃに丸められた紙が何よりも政明様の心情を表していた。


(あぁ…胸が痛い。)


誰かに想いを馳せるようにどこか遠くを見つめる政明様を見たくなくて、僕はそっと目を閉じた。







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