「おはよう、一葉。」


「おはようございます。あの…申し訳ありませんでした、こんな時間まで寝てしまって…。」


深々と頭を下げると、政明様はそんな僕の頭を撫でて


「昨日は無理をさせてしまったからね。身体は大丈夫かい?」


そう気遣かってくださる彼の言葉に、僕の心臓が騒ぎ出す。


「あ、はい。大丈夫です。」


本当は立っているのも辛かったが、優しく僕を見つめる政明様に余計な心配はかけたくなかった。


「ならいいんだが…。では朝食にしよう。松田さん。」


そう言って厨房の方へと向かう彼の後ろ姿をぼんやりと見つめた。






(7/19)
[back book next]