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「おはよう、一葉。」
「おはようございます。あの…申し訳ありませんでした、こんな時間まで寝てしまって…。」
深々と頭を下げると、政明様はそんな僕の頭を撫でて
「昨日は無理をさせてしまったからね。身体は大丈夫かい?」
そう気遣かってくださる彼の言葉に、僕の心臓が騒ぎ出す。
「あ、はい。大丈夫です。」
本当は立っているのも辛かったが、優しく僕を見つめる政明様に余計な心配はかけたくなかった。
「ならいいんだが…。では朝食にしよう。松田さん。」
そう言って厨房の方へと向かう彼の後ろ姿をぼんやりと見つめた。