チュン チュン
チュン チュン



(ん……朝?)



雀の鳴き声で目を覚ました僕は、まだ覚醒しきっていない目をさ迷わせ部屋にある時計を見た。


「やばいっ!寝坊だ!!」


その瞬間いっきに目が覚め、ベットから飛び起きようとしたが


「――っ!?」


下半身に鋭い痛みを感じ、そのままベットに突っ伏してしまった。


(そうだ、昨日は政明様に抱かれて…)


昨夜はいつになく激しく何度も求められ、結局寝たのは今日の朝方だった。


(政明様……)


彼があんなに激しく自分を抱くのは何か忘れたい事があった時か、たいていはあの方が関係している時だった。


一瞬あの方の姿が思い浮かんだが、それを振り切るように頭を振る。


早く仕事に戻らなくては。


隣に政明様がいらっしゃらないということは、彼はもうとっくに起きているのだろう。


主人を放って眠りこけるなんて、使用人として失格だ。



痛む身体に鞭を打ち、政明様の下へと急いだ。




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