恋愛指導
 

※黒子が2年の設定です。







































僕が2年生に進級して、新しい1年生達がバスケ部に入ってきた。

千晴さん、という1年生のマネージャーも今年からバスケ部で働いてくれることになった。


千晴さんはとても明るくて素直で、優しくて良い子。…そして何よりすごくモテていた。

顔だって可愛いし、スタイルだって良い。


だから、男子バスケ部のほとんどが千晴さんに惚れるのは時間の問題だった。


……僕もその一員だ。



千晴さんは僕なんかと釣り合わない。千晴さんはきっと他に好きな人がいる。

そう思っていたけど、それ以上に僕は、



千晴さんが欲しかった。











そして僕はある日から、最低な人間になってしまった。








「千晴さん」
「あ、はい、何ですか黒子先輩っ」


更衣室で運良く二人きり。
こんなことは滅多にない。



「千晴さんは恋をしていますか?」
「えっ!?」


僕からの急で意外な質問に驚いたのか、千晴さんは少し顔を赤くして僕から目をそらす。

…ああ、やっぱり、しているんだ。


「え、えと…どうしてそんなこと、聞くんですか…?」


千晴さんだって高校1年生の女の子。それに男子バスケ部のマネージャーをしているんだ。

好きな人くらいいるだろう。



僕はチャンスだ、と心の中で思った。



「その恋、叶いませんよ」
「え?」


千晴さんにそう言い放つ。
千晴さんはそんな僕を見つめて、


「どうしてですか!?」


と聞き返してきた。

千晴さんは今にも泣きそうで、その好きな人に振り向いてもらえるなら何でもするという表情だ。

よっぽどその人が好きなのだろう。



…僕が千晴さんを想うのと同じように。


「先輩、私はどうしたらいいんですか…?」


千晴さんは真っ直ぐな瞳で僕を見て、そう言った。



「大丈夫です千晴さん、僕が指導してあげます」

「本当ですかっ!?」



僕は千晴さんの「好きな人に振り向いてもらいたい」というただ真っ直ぐで純粋な気持ちを利用した。





「まずは、そうですね。キスの仕方から教えてあげます」
「……キスの…仕方……?」


キョトン、とした表情の千晴さんに歩み寄って、その綺麗な頬を撫でる。
千晴さんはぴくっと肩を揺らした。


「せ、…先輩……?」
「僕なら君を完璧な女性に指導することができますよ」
「……本当ですか…?」
「はい」


千晴さんは、僕のことを先輩として尊敬するような、そんなキラキラした瞳で僕を見る。




…違う、完璧な女性なんかに指導するのではない。

僕しか見えない女性に調教してやるんだ。








フッと静かに笑って、僕はその柔らかそうなふっくらした唇にキスをした。



































≪END≫
続きそうで、・・・続かないですね。
こういうのから始まる恋も良いと思うんです。










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