常時非常口恵まれていた僕が僕を認められていたのはいつの日かまでの話で、僕はいつの間にか平凡な変わり者になり下がっていた。 恵まれていたのは僕ではなくて、僕が身を置いていた環境だったことは明白ではあったが、その恩恵がなければ僕はこんなにも落ちぶれてしまうのかと酷く絶望した。 食べることと呼吸をすること以外に機能しなくなった口は余程のことがなければこの場所で開かれることはない。 文字や数字の羅列以外のものを見る必要がなくなった目は、必要がないときには閉じて過ごした。 決まった場所以外に向かうことがない足は、本来いるべき場所へ向かうことを拒み始めた。 動かない。 動けない。 逃げることも出来ない。 半端で、中途半端で、どうしようもない、僕。 「でも、我慢してきたんだから、えらいよ」 言葉でもなくて、空想でもなく。 ここから一歩でも逃げたくて、でも出来なかった。 そのための非常口。 -------------------- こういうのも書きたくなります。 |