創作 | ナノ



薄花桜




恋と呼ぶにはあまりに強く、
愛と呼ぶにはまだ未熟。

それを桜のようだと、そう言いました。

「所詮叶わないんだってこと?」

美しく咲く姿は見る人を楽しませるけれど、その散り際はあまりに儚い。
どんなに願っても叶わない恋のようだと。

「違うよ」

花ひとつひとつは小さくても集まれば大きく。
そっと下を覗きながら咲く姿はとても可憐。

「でもあんまり大きすぎて、見ているだけでいっぱいになっちゃうんだ」

ただ咲くだけならばそれでいい。
しかし桜は散り際にこそ大きく身を震わせて、その姿を見せつける。

「ただ咲いてるだけなら、桜も何にも変わらない」

散ってこそ美しい。
今はまだ大きく大きく花を咲かせているだけなんだと。

「枯れずに散らす姿が美しいから、惹かれるんでしょう?」

だから桜のように、想えばいい。







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桜の季節はすっかり過ぎてしまいましたが、書きかけがありましたので、一応。
うすはなざくらです。



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