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「なにそれ訳わかんないわね」
「でしょ?」

「まぁ分からなくもないけど」
「ドッチ!?」

「あんたはエース一本すぎるのよ。昔からずっとそうなんでしょ?エースはたぶんそれを心配してるんじゃない?」
「一途の何が悪いのよー!」

「まぁそうだけど。他を見て比べろってことなんじゃない?最終的に選ぶのは絶対俺、とでも思ってるのかしら。よっぽど自分に自信があるのね。気に食わないわ」
「ナミ、後半こわいよ」

「要はあれよ、あんたは普通に恋愛すればいいの。保険がいると思えばいいじゃない。行き遅れる心配もないしラッキー!くらいに思ってればいいんじゃない?むしろ他の人を本気で好きになって、自意識過剰男の鼻っ柱をへし折ってほしいわ」
「だからナミこわいって」

エースはどうやらナミの怒りモードに触れてしまったらしい。この日以来ナミは執拗に他の男を押してくるようになった。エースとは「ちょっと俺離れしてみたほうがいい」との提案で、今まで毎日一緒に登下校していた習慣がなくなった。エースの態度は今まで通りだけど、たった20分の登校がなくなっただけで私はとても辛くて、そんな私を見てエースは困ったように笑って頭を撫でてくれた。

「この世の終わりみてぇな顔すんな。大丈夫だって。俺のイチバンは3歳からずっとお前だからよ」

じゃあなんでエース離れしなきゃいけないの?頭の中は悲しさや疑問ややっぱり悲しさでいっぱいだったけど、そんな私を宥めるように笑う笑顔が眩しくて、私は結局また真っ赤になって何も言えなかった。なんでエースはこんなに私のツボを押しまくるんだろう。勝てる気がしない。

そんな折、エースに彼女ができたらしいという噂が校内に広がった。今まで私とばかり一緒にいたから、どういうことだとみんな私を心配してくれた。エースとの『両思いだけど、お互い若いうちは遊ぶ』という謎の約束のことは言わなかった。私自身イマイチ理解できていないから。だからみんなにはただ「私たちは幼なじみだってだけだから」と繰り返し説明した。

その日の帰宅中、なんとエースが女の子と歩いているのを目撃した。
本当だったの?あれが、エースの彼女??エースのカノジョ。他の人に取られたくなくて勇気を出して告白したのに、エースの隣にずっといたいとただそれだけをずっと願ってたのに、なんだこれは。

「危ねぇな。まっすぐ歩け」
「あ、ごめんなさい」

放心状態で歩いていると、肩がぶつかった。見上げるとエースよりももうちょっと背の高い男の子で、目の下には隈があった。

【未知との遭遇ってヤツ】

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