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私には幼なじみがいる。
エースという名前で、私は3歳の時に隣に引っ越してきたエースにずっと片想いをしている。
私たちはずっと一緒にいる。エースは私の全てで、エースのことならなんでも知ってると思っていた。でも高校に入るとエースは持ち前の明るさですごくすごくもてるようになった。幼稚園までおねしょしてたことを知っていたって、親のマネをしてチューしてみたことがあったって、ぞうさん滑り台でプロポーズされてたって、それがなんだというのか。

私は不安になった。
このままじゃやばい。エースが離れてしまう。
だから、告白した。
知り合って11年目で、初めての告白。

「す、好きです!」
「おう、俺も好き」

「…え?いやあのこれ告白なんだけど」
「はははっ分かってるって」

「じゃ、じゃあ私たち両思いってこと?」
「だな」

「つつつつつ、付き合うってこと?」
「それは無理」

は?

幼なじみに勇気を振り絞って告白したら、眩しい笑顔で無理と言われました。男の人というのは両思いでも付き合わないものなのでしょうか?

「って、知恵袋に相談したいーーー」
「ヤホーの?発言こまちのほうがいいわよ」
「そうなの?って違う!そんなアドバイスいらないよ!どうしたらいいの?全く意味わかんないんだけど」

ナミーと泣きつくと、朝からうっとおしいと振り払われた。ひどい!

「で、結局どうなったのよ?」
「聞いてくれるの?!ひどいなんて思ってごめん」
「はぁ。あんたはほっといたらバカなことばっかりするからね」

あ、感謝はお金で表してね?と微笑むナミはかなり小悪魔だけど、本当はすっごくいい子だからそのギャップがなんとも憎らしい。サンジ君がハリケーン飛ばすのもやむなし。


話は昨日に遡る。

「付き合えないってどういうこと?」
「あーだからよ。俺たち幼なじみだろ?で、結婚するだろ、たぶん」
「ケッ!え?そうなの?」
「するだろ。お前以外とか考えらんねぇし」

エースは真顔で淡々とすごいことを言ってのけた。私はというと、無理と言われた数秒後に飛び込んできた『結婚』というフレーズにもう頭がついていかない。エース曰く、幼なじみでずっと一緒にいたから結婚するのは私以外にありえない。でもそうなると一生お互いのことしか知らないことになるわけで、それは余りよくないと。なるほど。それは分かる気がす、るか?いや、しないよね。

「だからお互い若いうちに色々経験しとこうぜ。な?」

引き続き眩しすぎる笑顔でそう言ったエースは、「んじゃ誓いのキスな」と言ってしれっとファーストキスを奪った。正確には初めては5歳の時公園の砂場だったから二度目なんだけど、たぶん今されたのを世間では本当の意味でファーストキスと呼ぶんだよね。私はただ真っ赤になって、コクコクと何度も頷いた。本当はエースの言ってることはこれっぽっちも理解できていない。

【幼なじみってヤツ】


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