three of us10 | ナノ





three of us10

 魔法にかかったかのように、祐の足は奥へと進んだ。真斗が封を切っていないコンドームを渡してくる。部屋着にしているスウェットパンツの前は大きく膨らんでいた。まだ肩を揺らしている司は、背中を向けていて、自分の存在に気づいていない。祐はそっとベッドに腰かけた。そして、いつものように髪をなでる。
 すると、司が飛び起きるようにこちらを見た。
「た、祐さん?」
 少しかすれた声を聞き、祐は司をベッドへ押し倒す。彼のペニスにはコンドームがつけられていた。溜まっている彼の精液を見て、そこへ手を伸ばし亀頭を擦る。甘い声が漏れた。祐は彼のペニスが再び熱を持ったのを確認した後、裸になってペニスへコンドームを被せた。
「司」
 司の瞳はうるんでいた。先ほどまで真斗が入っていたアナルへペニスの先端を当てる。あいまいな関係だったが、気持ちだけは伝えておこうと思い、ペニスを進めながら、耳元でささやく。
「好きだ」
 中ほどまで進んだところで、すぐいきそうになる。久しぶりの感覚だった。祐は必死に抑えていたが、「好きだ」とささやくと中はいっそうきつくなった。司のペニスを手で擦りながら、自分も腰を動かすと、呆気なく絶頂を迎える。熱が解放された後も、体を動かすと、また欲望が猛ってくるのを感じた。
 祐はもう一度、腰を動かし、司の体を堪能する。耳に響くいつも以上に甘い声をくちびるでふさぎ、その舌をも絡ませた。
 二回目の射精を終えた後、司はぐったりとしていた。ちょうどコンドームの処理をしている時に、真斗が戻ってくる。手にはコーヒーを持っていた。
「終わった?」
 妬みも何もない口調で聞いた真斗は、ベッドで気を失っている司を見て、かすかに笑う。
「四回はきつかったか……」
「四回?」
 眉をひそめて尋ねると、真斗は下着だけ身につけていた体へ衣服をまとっていく。
「そう。俺、二回したからさ。おまえも二回しただろ?」
 祐は青くなり、ベッド上の司を見た。彼は眠っているだけだが、体を酷使させたせいか、青白い肌は精気を失っているように見える。ペニスに被せてあったコンドームを取ってやり、祐は彼の体を抱えた。
「風呂、わかしておいた」
 真斗にしては気が利くと思いながら、祐は司を抱えてバスルームへ向かった。

 バスタオルに包んだまま、司を自分のベッドへ寝かせた。真斗が煙草のにおいをまとって入ってくる。
「真斗、おまえさ」
 俺達三人のことをどう思う、と聞こうとした。その続きを遮って、彼が口を開く。
「俺、兄貴なら別にいい。そんだけ」
 司に毛布をかけ直した後、ひらひらと手を振って真斗が出ていく。司は自分達を好きだと言った。そのことを言わなくては、と呼び止める。
「真斗」
 振り返った真斗は何だか寂しげに見えた。
「司君はおまえのことも好きなんだ。俺達……三人で暮らしてる。これからも、そうだろ?」
 以前は自分が出て、真斗と司の二人で暮らせばいいと考えていた。今は真斗がそれを言い出しそうで怖い。怖いと思って、どうしてそう思うのか考えた。こたえが分からない。目の前で真斗が苦笑した。
「そうだよ。俺は司も、兄貴も好きだから、二人とも手放さないって」
 廊下へ出た真斗を見送り、祐はベッドで眠る司を見つめる。二人とも手放さないと言う真斗の言葉は、二人とも好きだと言った司の言葉と同じだった。そして、自分もまた、二人を失いたくないと思っている。
「なかなかやるな」
 自分達の胃袋と心をとらえた司の額を、指先で軽く弾く。ぐっすり眠る彼が起きることはない。祐はそっと額へ口づけて、自分も毛布の下へ潜り込んだ。



【終】

9 番外編1

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