three of us8 | ナノ





three of us8

「ここにいればいい」
 泣いている司を慰めたいと思った。ここで暮らせばいいというのは本心だ。体を密着させると、ほんの少し顔を上げた彼と視線が間近で交わる。
 ためらったのは一瞬で、ためらう理由を考えた瞬間にはキスをしていた。重ねるだけでやめようとしたが、祐の理性はどこかへ消えてしまい、今はただ司をむさぼることだけを思った。
 舌が絡み、そのまま廊下へと押し倒す。同性とのキスは初めてだ。嫌悪感がわいてこない自分を冷静に受け入れながら、祐はシャツの間から指を滑らせた。司の体が動く。平らな胸板を手のひらで確認する。つんと立っている乳首へ触れると、彼の口から吐息が漏れた。
 祐は欲望のおもむくまま、司にキスを落とし、彼のジーンズへ手をかける。方法は何となくしか分からないが、何とかなると思った。久しぶりの感覚に期待が募っていく。彼の股間と同じように自分の熱も大きくふくらんでいた。
「つかさ……」
 名前を呼ぶと、司はこたえるように視線を向けてくる。彼のペニスを手で擦る。体を揺らして恥ずかしそうに視線を伏せた彼が可愛らしく、祐は体を起こして、彼の手を引いた。部屋でセックスすることはなかった。コンドームの準備もなく、祐はようやく自分を制御することができた。
「コンドームがなかった」
 ベッドに寝かせていた司のそばへ座り、まだたっているペニスへ手をかける。祐が苦笑すると、司は起き上がり祐の手を止めた。
「祐さん、いいです。自分でします」
 祐は司のペニスを握ったまま、ゆっくりと手を動かす。
「っ、ん、あ、ぁあっ」
 司の表情を見て、祐はより快感を与えようと指の腹で彼の亀頭をいじる。大きく体をのけぞらせた彼の喉を見て、祐は彼の体を倒し、その喉へ噛みつくようにキスをした。
「あっ、く、いくっ」
 手の中にほとばしった温かい液体を確かめるように、指へ絡ませる。少し小さくなった司のペニスをなでた後、祐はベッドから下りた。ティッシュで手を拭き、彼にもティッシュを渡す。ずらしていたジーンズを引き上げて、彼は恥ずかしそうにうつむいた。
「すみません」
「何で? 謝る理由ないだろ。俺がしたいからしたんだ」
 コンドームがなくてよかったと思った。もし、あったら、取り返しのつかない行為をしていただろう。祐は下着とジーンズを元に戻した司を見つめる。真斗のことを好きなのか聞きたかった。だが、それを聞いたところで、きっと自分はどんなこたえにも納得できない。
 
 大型家具店の中をぶらぶらしていると、ソファコーナーへたどり着いた。三人で買い物へ出るのは初めてで、祐は何となく二人のうしろを歩いた。あれから司とは余計にぎくしゃくしてしまい、真斗に勘ぐられている。
「祐も座ってみろよ」
 色や形の異なるソファに座った真斗が手招きする。司は別のソファの背もたれを押したり、うしろの部分を見たりしていた。真斗の隣に腰かけると、司のほうを見た彼が小さく笑う。
「司にうちにいればいいって言ったんだって?」
「あ、あぁ」
 ぽんと右肩を叩かれる。
「俺に遠慮するな。あいつのこと、好きなんだろ」
 視線の先には司がいる。柔らかなクッションに笑みを浮かべ、そっと座っていた。
「なぁ、三人で暮らさないか?」
 三人で暮らすことには反対ではない。向こうから足早に戻ってきた司が、「どれもいいですね」と笑った。自分に決定権がないと思っているのだろう。
「司君の好きな色は?」
「三人の家なんだから、三人で決めないとな」
 丸い目をさらに丸くした司の手を握って立ち上がる。祐は真斗の言葉に頷いた。司は驚いたままの表情で、祐の手を見ている。あの日から互いに意識し過ぎて、言葉を交わすことすらままならなかった。いつもおいしい料理を作ってくれる手を握り、司の返答を待つ。
「あ、あの、俺は……モカみたいな色がいいと思います」
 真斗と視線を合わせる。祐は司の手を離さず、真斗の前で堂々とつないだ。真斗はただ笑うだけで、何も言わなかった。

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