ひみつのひ番外編1 | ナノ





ひみつのひ 番外編1

 藤智章にはとても大事にしている恋人がいる。恋人の名前は菅谷稔。最近、髪を整えたばかりで、漆黒の髪は少し初々しい印象を彼に与えている。
 眼鏡をかけているのだけれど、稔はよそよそしくも冷たくもない。ちょっと人見知りする性格であまり広く浅い付き合いはしていない。だが、知り合って友達になれば、彼のよさはすぐに分かる。一緒にいて心地好い奴。それが稔だった。

 智章の大事な恋人は今、頬を紅く染めている。もちろん智章には理由が分かっている。今朝、彼のアナルを十分いじった後、小さなローターを入れた。コードレスタイプのそれは、ある程度離れていても、動かしたり、止めたりして彼にいたずらすることができる。
 あまりいじめるなと周囲から注意されているが、智章はこんな週末でさえ、稔を構いたくて仕方なかった。
 二年に進級し、クラスも寮も同じにしてもらった。毎日のように体を求めても、智章は稔を放すことができなかった。
 目の前でサラダを食べようとしている稔が、フォークに刺したトマトを何度も口元へ持っていっては、泣きそうな目でこちらをうかがう。
「止める?」
 かくかくと頷いた稔に、智章はローターの振動を強めた。
「っう、あ、や、ふっ」
 食堂の長テーブルに隠れているが、きっと稔のペニスは勃起している。
「いっていいよ」
「っあ、やだ……ん、ここ、や」
 フォークを握り締め、稔が潤んだ瞳で見てくる。自分のペニスも熱を持つのが分かった。智章はそのまま食事を続ける。食堂にいる生徒達に稔の様子を見せるのは惜しいが、周囲の目があることで、稔の羞恥心がいっそう強くなり、より深い快感を与えられる。
「あっ、アア、ねが、おねが、いっ」
 うつむいて震えている稔は、大好物のトマトを諦めた。智章はことさらゆっくり稔と自分のトレイを返却口へ返し、テーブルに伏せている彼を抱き上げた。
 すぐに稔が腕を回して、耳元でささやく。
「パンツ、気持ち悪い」
 稔の泣き声はダイレクトに智章を刺激する。智章は急ぎ足で部屋へ戻り、精液で汚れた稔の衣服を脱がせて、かいがいしくきれいにしてやる。
「もう、外でああいうのやだ」
 涙のあとを擦りながら、稔が少しムッとしながら言う。そんな姿もかわいいと、智章は反省の色も見せず、服を脱いだ。
「稔……でも、おまえが必死に耐えてる姿、めちゃくちゃかわいいよ。大丈夫。誰も気づいてない。だから、怒らないで」
 智章は稔が怒っていないことなど見通していた。彼はただ拗ねているだけだ。
「トマトをもらってくるから、ね?」
 涙で濡れたまつげがぱちぱちと動く。智章は笑いそうになるのをこらえながら、彼のくちびるにキスをした。
 かわいい恋人はいつも先に折れる。トマトで機嫌を直してくれるなんて、単純で愛しい。
「藤」
「何?」
「おいしい紅茶も飲みたい」
 わがまますら愛らしい。智章はさっきまでローターが入っていた稔のアナルへ自身を埋めた。愛していると告げる代わりに、枕のそばにあった彼の手をぎゅっと握ると、答えるように握り返された。

34 番外編2(秀崇視点)

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