vanish25 | ナノ





vanish25

 赤髪の男がわざと優しく体に触れてくる。慎也は体をしならせた。媚薬のせいだと分かっている。心は拒否しているのに、体は男の手を求めていた。
「犯してくださいって言えよ。突っ込んでって言ったら、そのリング、外してもいいぜ?」
 慎也の乳首をつねった男は、そのまま指先をひねる。
「ッあ、や、やめっ」
 拒否の言葉は空回りしている。口で否定しても、体は正直な反応を見せていた。ペニスリングはしっかりとはめられているのに、慎也のペニスは先走りで濡れている。首や乳首、脇腹のあたりに触れられると、ひくりとペニスが震えて大きくなる。
「あ、やだ、やめっ、ろっ……」
 触るな、と言うつもりで相手を睨むと、赤髪の男が拳を振り上げてきた。左目の上に強烈な痛みを感じる。
「だから! おまえは何で殴るんだ? せっかく薬まで使ってんのに」
 携帯電話をしまった男は、赤髪の男を注意した。赤髪の彼は一度、慎也の上から退くと、チューブを持って戻ってくる。
「めんどくせぇ。ほら、見ろよ」
 彼はイライラとチューブの先を慎也のアナルへ入れると、中身のジェルを出し切り、乱暴に指を突っ込んだ。
「試験だ何だとか言って、昨日もお楽しみだったんだろう? てめぇのこの穴、ほぐす必要ないくらいじゃん」
 慎也は力の入らない足で赤髪の男を蹴ろうとした。だが、男はその小さな抵抗を封じ、おざなりにほぐしたアナルへゴムをつけた己を突き刺す。
「ッアア、ア、あ……ひっ」
 男は最奥まで貫いた後、ぎりぎりまで身を引いてまた突き入れた。
「ちょっと緩いんじゃね? 締めろよ、ほら」
 勃起しているペニスを潰されるかと思うほど強く握られる。
「っひぁ、い、アアアッ……」
 慎也には自分のアナルが緩いかどうかなんて分からない。どうすれば締まるのかも考えられない状態だった。男の言葉が嘘で、慎也を傷つけるためにそう言ったことが分かるのは、男本人と二人の様子を見ている男だけだった。
 慎也の中は男のペニスが無理やり貫いたせいで、傷ついていた。早送り映像のように、男のペニスが何度もアナルから出ていっては中へ侵入する。
 精液とジェルに混じった血液が股の間を汚していく。媚薬の効き目なのか、アナルには痛みがなかった。だが、射精を制限されているペニスには鈍い痛みがある。
 力による支配を受けながら、慎也はまだ少しだけ、これは悪夢で自分は寝ているんじゃないかと考えていた。よりによってセンター試験の当日に絡まれて、連れ込まれて強姦されているという現実を受け入れられない。
 葵によってしっかりと仕込まれている体は、どんな屈辱からでも快感を拾い上げ、媚薬で麻痺した体は勝手に動いていた。慎也は自分の意思が蔑ろにされていくのを感じていた。いつものことだった。誰も慎也自身でいることは許してくれない。
 赤髪の男が慎也の体から離れた時、慎也はすでに失神していた。気付け薬を当てられて目を開くと、別の男が慎也の体をうつ伏せにする。
「俺、血とか萎えるんだけど。顔もちょっと好みだったのになぁ」
 彼は慎也の後頭部を床へと押さえつける。
「お尻に突っ込んでください、は?」
 慎也は虚ろに艶やかなフローリングの床を見ていた。
「慎也のいやらしいケツの穴に、大好きなペニスを入れてください、って言えよ」
 彼は喉を震わせて笑っている。慎也の体は小刻みに震えていた。彼の望むように言えば、誰かの望むような人間になれば、そこで初めて存在を許されて、居場所を用意される。
 慎也は小さく息を吸った。言い終わると、彼がうしろから体を貫く。

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