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 意識が戻った時、慎也が最初に感じたのは寒さだった。体を丸めようとして腕の不自由さに気づく。
「……いっ」
 殴られた部分は熱くなっていた。腫れているのかと触れようとして、はっきりと腕を縛っているロープを目にする。
「あー、起きてる、起きてる」
 髪を赤く染めた男が近づいてきた。目に入ってくる情報が多すぎて処理できない。慎也は自分がどこで何をしているのか分からなくなる。手をついて起き上がり、慎也は気がかりなことを口にした。
「センター……」
 試験はどうなったんだろう。モデルルームのような部屋から見える外は真っ暗だ。夢だと信じたかった。
「あ、あ」
 慎也を呼び止めた男が、携帯電話を見せる。日付が一日進んでいた。今日はセンター試験二日目だ。本来は二日目に備えて、寝ている時間だった。追い打ちをかけるように彼らは笑った。
「試験だったの? でも、おまえ、今までぐうぐう寝てたじゃん」
「自業自得ってやつ?」
 センター試験は第一歩に過ぎない。だが、その一歩がなければ、A大を受けることすらできない。慎也の脳裏に三年間の日々が去来する。
 何のために耐えてきたのか、分からなくなり、慎也は大きな涙を自分の太股へ落とした。そして、落ちた涙の先、冷たい空気にさらされている太股を見た。
「やっぱ脱ぐと寒いな。暖房、入れようぜ」
 赤髪の男の言葉に、離れたところに立っていた男がリモコンを操作する。
 慎也は左腕に巻いてある包帯しか身につけていなかった。赤髪の男が下品な笑みを浮かべて、慎也の肩を押す。
「キスマークいっぱいだな? チンコ好きそうな顔。まずはしゃぶれよ」
 慎也の中では言葉がまったく理解できなかった。目の前でペニスを差し出す男も、奥で携帯電話をいじりながら、タバコを吸っている男も、何だというんだろう。
 自分に何をした?
 自分は何をされた?
 思考が働かない。
 呆然と目の前の男を見上げると、彼はまた殴った。顔面から腹部、そして下肢まで散々殴打された。痛みと苦しさで泣いても、誰も助けに来てくれない。
 センター試験を受けられなかった。来年があるなんて気休めにもならない。義理の母親に何を言われるか、父親からどんな視線で見られるか、慎也はそのことに恐怖した。
「あんまりひどい顔にすんな。俺、萎えちまう」
 タバコを吸い終わった彼が、手に何かを持ってやってくる。
「これ」
 慎也はぐったりとしていた。手を縛られていたこともあり、抵抗はまったくしていなかったが、仰向けの状態であごを押さえられる。それが何か分かったのは飲み込んでからだ。葵が使う媚薬と同じ味だった。
「っ、お、俺、センっターいっ、て」
 液体を飲み込みながら、慎也は体の上に乗っている男に懇願した。だが、男はけらけらと笑い飛ばす。
「その試験、もう終わったぜ? それにおまえ、今から俺らにレイプされちゃうから、今日も試験ムリ」
「レイプじゃない。合意なんだから」
 さっきは寒いと感じたフローリングの床の冷たさを、今度は心地いいと思った。慎也は両手を伸ばして、緩くたち始めたペニスへ触れる。
「おっと」
 一つに縛られていた腕を頭上に持っていかれた。
「まずは俺らのこと、楽しませてくれよな」
 タバコを吸っていた男がペニスリングを持っている。
「や、それ、やだっ」
 体をひねって逃げても、慎也の逃げ場はどこにもない。あっさりと捕まり、ペニスリングをはめられ、赤髪の男が彼のペニスを差し出した。
「しゃぶらせる前にちゃんと合意だって言わせて」
 携帯電話を持った男がライトを光らせながら近づく。

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