vanish5 | ナノ





vanish5

 無理やり排出して赤くなったアナルにチューブが突っ込まれ、その先からジェルが広がっていく。
「泣かないで」
 どんなに優しく言われても、風呂場で散々殴られた後では素直に頷くことはできない。慎也には葵が何をするのか分からず、ただアナルという体の中をいじられることの非日常的な行為に悪い予感だけがしていた。
 ぐっと体の中に押し入ってきたものを視線を落として見た。葵の手が股間の下へ潜り込んでいる。指先だと分かり、慎也はパニックに陥った。泣き叫んで、体をばたつかせると、殴られる。だが、その痛みを凌駕するほど、アナルへ指を入れられたことのほうが怖かった。
 葵は数回体を殴った後、部屋を出ていく。慎也はしばらくしてようやく終わったのだと、ベッドにうつ伏せて静かに涙をこぼした。
 全部、夢で自分はまだ葵の腕の中で泣いているだけだと思いたかった。音を立てて、葵が戻ってくる。その手には白いビニール紐を持っていた。夢じゃない。ベッドのパイプ部分に万歳をするような格好で両手首を縛られた。
「ゆ、ゆめ、じゃない」
 仰向けにされ、足は片方ずつ、ベッドの足の部分へ結ばれる。さらされたペニスが勃起していた。
「夢じゃない。ほら、慎也のおちんちんが上、向いてる。いやらしいなぁ」
 どうしてかは分からない。こんなに恐怖を感じているのに、慎也の体は熱く、ペニスは欲を表している。怖くて、体が震えていた。葵がまた指を入れてくる。今度は暴れても、体が動かない。指が動くたびにあふれた涙が頬をつたっていく。
 三本の指がアナルの中を蹂躙していた。気持ちが悪くて、昼に食べたものを戻しそうになる。それなのに、ペニスを触られると気持ちよくていきそうになった。ずっと口から漏れていた嗚咽が消える。葵が慎也の顔をタオルで拭い、ガムテープを貼ったからだ。
 鼻から大量の息が吐かれる。喉の奥から悲鳴が漏れる。だが、それは音にはならず、代わりにたくさんの涙があふれた。裸になっていた葵が、ペニスを慎也のアナルへ突き入れた。慎也にはその瞬間、何が起こっているのかは分からなかったが、とにかく痛くて熱くて、泣くことしかできなかった。
「慎也」
 ずっとこうしたかった、そう言われた気がした。葵が動くたびに、ビニール紐がパイプに擦れる音が響く。慎也のペニスはすでに萎えていたが、それを気にする余裕はない。ぐっと奥を突かれ、腰を引かれ、アナルの中をかき回される。
 慎也はもうろうとする意識の中で窓から見える空を見ていた。朝は曇り空だったのに、快晴だった。体の上で動いていた葵が動きを止める。そして、萎えている慎也のペニスを手で扱きはじめた。
「っ」
 いやだ、放して、そう言いたいのに、ガムテープで塞がれた口からは何も音が出ない。アナルからは痛みしか感じない。だが、ペニスを弄ばれ、慎也の欲はまた熱を持った。
「一緒にいこうな?」
 葵が動くと、アナルの中が焼けるように痛い。同時にペニスを擦られて、射精感が高まる。
「ンーッ」
 自分の腹の上に精が放たれる。慎也は絶頂に浸ることなく、アナルの中へ出された葵の精に震えた。彼がガムテープをはがしてくれる。呼吸を開始する前に、くちびるを奪われて、口内を舌で犯された。むさぼるようなキスの後、彼が体から離れた。
 ビニール紐を解かれて、そっと起き上がると、バスタオルが所々、赤く染まっていた。乾いていた涙がまたあふれる。
 終わったんじゃない。
 それが始まりだと慎也は悟った。

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