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vanish3

 葵は生ですることを好んだが、慎也が中を洗うために夜中や明け方にシャワーを使ったために義理の母親に怒られてから、コンドームを付けるようになった。だが、時々、彼女がいない時は容赦なく中へ吐き出される。
 今夜みたいに平日の場合は、二回程度で終わる。最後にくちびるにキスをされ、慎也は葵が出ていくのを待った。彼はいったん出ていってから戻ってくる。そして、彼は財布からいくらか取り出して、勉強机の上に置いた。
 葵は慎也が小遣いで食生活を回していることを知っていた。父親がいなければ、朝も夜もなく、弁当は持たされていない。だから、彼は時々、セックスの後に金を置いていく。
 慎也はそれを見て、ぼんやりと天井を見上げた。不意に込み上げてくる涙を拭う。誰かの熱を感じている間は満たされていると思うのに、それが終わると残るのは底無しの虚無感だった。
 何をしているんだろう。どうしたらいいんだろう。慎也はそうして誰にも打ち明けられない悩みを内側へ溜めていくしかない。

 目覚ましの音で起きた慎也は、だるい体を引きずって、洗面所で顔を洗った。父親は今月初めから出張だと聞いている。朝ご飯が用意されていないキッチンへ行く必要はなかった。
 朝に弱いわけではないが、睡眠時間や寝る前にしているセックスという運動は、慎也の体にも心にも大きな負担だった。四月生まれですでに十八歳なのに、制服を着ていてもいまだに中学生か、あるいは高校一年生と間違えられる。
 朝の満員電車に揉まれた後、コンビニで朝ご飯を買って、まだ誰も来ていない教室でご飯を食べる。余裕があれば、塾の予習をした。慎也にとって何か救いがあるとすれば、それは葵と同じ大学に入ることだけだ。そうすれば、義理の母親も自分のことを認めてくれる。慎也はそう信じていた。

 慎也が第一志望の高校に落ちた後、しばらくして彼女が彼女の親戚に電話で話しているのを聞いた。葵がどれだけ優秀で容姿もよく、家族思いかを話した後、慎也が受験に失敗したことを話していた。
 葵の大学受験と慎也の高校受験は同じ年だった。だから、環境のせいにはできない。元々、慎也は勉強が出来るほうではないが、慎也の努力が足りないと言われれば仕方なかった。高い費用を払って、塾へ通わせてもらい、葵も時間に余裕があれば、勉強を見てくれた。
 あの頃、葵は頼れる義兄だった。今も勉強を見てくれる。だが、あの頃は絶対的に信頼をしていた。父親には何も言われず、義理の母親からは罵られて、幼い子どもみたいに部屋で泣いていたら、葵は抱き締めてくれた。
 抱き締めて、世の中は勉強だけが大事なことじゃないと言われて、慎也の通うことになる高校もかなり高いレベルだと言ってくれた。中学の成績から考えて、慎也が出した結果はとてもすごいことだと、頑張ったなと言われた。きっとあんなに泣いたのは、離婚して母親が家を出ていく時以来だった。
 葵は女々しく泣く慎也を抱擁して、涙で濡れた頬を舌でなめた。心が乱れていた慎也はその異常性に気づかず、そのままベッドへ押し倒されても、抵抗はしなかった。

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