ひみつのひ33 | ナノ





ひみつのひ33

 洗面所はトイレと一緒になっている。扉を開けて真正面がトイレ、左側に洗面台がある。智章に促され、稔は制服のズボンも脱いだ。
「洗面台に手ついて」
 言われた通りに、手をついて腰を突きだす。
「入れるよ」
 冷たくはないが温かくもない生理食塩水がアナルの中に入ってくる。
「っ」
 痛くはないが、せり上がってくるような感覚を覚えて、稔は息を吐きだした。
「大丈夫?」
「うん」
 それから十秒も経たない間に出していいと言われる。
「ふ、藤、でっ」
「出る? 出していいよ?」
 便座に座った稔は顔を赤くする。
「ちがっ、藤が、出てっ」
 どんなことでも受け入れてきた稔だが、さすがに今は一人でさせて欲しい。腹部を押さえて差し込みに耐えていると、智章は扉に背をあずけて出ていく様子は見せない。
「ぜんぶ見たい」
 出ていって、と稔が泣いて頼んでも智章はその場に留まり、稔が我慢できなくなってアナルから中に入れたものを出しても眉一つ動かさなかった。泣いて固まっている稔にトイレットペーパーを渡した智章は、二回目、三回目と淡々とアナルを洗浄していく。最後に使い切りタイプと書かれたポンプでシャワーのようにアナルを洗い流した。
「稔」
 名前を呼ばれて顔を上げると、智章がキスをしてくれる。
「すごくかわいいよ」
 そう言われても、稔はうつむくことしかできない。きっと親にだって見せたくはないことを智章にはもう三回も見せてしまった。
 アナル洗浄の後、智章は稔をベッドに乗せると四つ這いになるように言った。彼の手には潤滑ジェルがある。浣腸液と違い、ジェルはとても冷たかった。
「っひゃ」
「冷たい?」
 うしろを向いて頷くと、智章はあと少しだけジェルを指先に絡めて、摩擦させるように指先を動かした。
 あの張型を突っ込まれたひどいことを思い出しそうになるが、うしろにいるのは智章だ。そして、つながりたいと欲したのは自分だ。
「っん、ァ……」
 今度は温かい感じがする。智章の右手の中指が一本だけ、稔の中へ侵入している。その指は意図を持って動いていた。
「あ、ッア、ふ、ふじ、ぃ……や、っン」
 指に合わせて腰が動く。智章は人差し指まで入れると、さっきよりも速く動かしはじめた。智章の指、そう思うと怖くない。彼の手が優しいことはずっと前から知っていた。
 智章の指はすでに稔の前立腺を捕らえている。焦らすように、そこではなく周囲を擦られて、稔は自分のいい所に指を当てようと腰を振った。
「稔、俺の指だけでいけるの?」
 ぱんっと臀部を叩かれて、びくりと体が揺れる。稔はペニスを完全に勃起させていた。
「っあ、あ、藤……もきて、ア、はやっ、く」
 智章はことさらゆっくりと制服を脱ぎ、コンドームをつける。アナルに入れる前に、智章はもう一度指で慣らしてくれた。二本だった指が三本に増える。
「息を吐いて」
 ゴム越しに智章のペニスの熱さが伝わる。まだ先端をアナルに当てただけなのに、稔は彼を受け入れることに興奮を覚えた。涙があふれる。
「怖い?」
 勘違いした智章が尋ねる。稔は首を横に振った。
「違う。俺、分からないけど、きっと藤だけだよ。藤が初めてで最後ならいい」
 背中に智章の手の平が触れた。稔の言葉を智章がどう受けとったのかは分からない。だが、智章は思いの強さを伝えるように、稔の中へと押し入ってきた。

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