ひみつのひ31 | ナノ





ひみつのひ31

 智章の言う通り、口でされるのはオナホールなんかよりずっと気持いい。温かい口の中で、稔のペニスは舌でもてあそばれ、智章の喉の奥を先端で突く形になる。
 天井を仰いでひときわ喘いだ後、稔はいきそうになった。その瞬間、智章はペニスを口から出す。勃起したままのペニスから我慢汁がだらだらと流れた。
「っ、ふ、藤……ッア、いき、いきたい」
 智章は稔の足元にひざまずいていたが、精神的な立ち位置は完全に逆だった。すがるように彼を見ると、彼は嬉しそうに言う。
「稔ははしたないね。もう少し、我慢することを覚えなきゃ、ダメだ」
 稔のペニスの根元を、智章はぎゅっと握った。
「ア、や、藤っ、やめっ……ひ、ぁ、ァアアっ」
 智章はもう一度ペニスを口に含み、激しく舌を動かす。根元から先端まで上下に動かしながら、稔の絶頂の瞬間を見極めようと視線を上げた。
 稔は智章が見ていることにも気づかず、喘ぎながら、体をのけぞらせてシーツをつかむ。いく、と感じた時、強烈な刺激に目を閉じた。
「ひっ、あ、アアア、ァアっ!」
 射精の瞬間に、智章がペニスを握っていた手を離して、さらにペニスを吸い上げた。強い刺激は痛い。痛いのに今まで迎えた絶頂の中でいちばん上まで押し上げられた感じがした。

 部屋の鍵を持って出ていった智章を見送り、稔は今の間にアナルの傷へ軟膏を塗ろうと薬の入った袋を取りだした。強烈な射精感に意識を飛ばしている間に、シャワーへ連れていかれ、ぼんやりとしている間に体を流され、髪を乾かされて、またベッドの上だ。
 智章はかなり世話好きなんだ、と思いながら、下着を下ろしてアナルへ指を伸ばす。無理やり入れられた張型は奥ではなく、どちらかといえば縁のほうを切っていた。
 軟膏でべたついた手を洗うため、洗面所へ行くと、ちょうど智章が帰ってくる。購買で飲み物やお菓子を買ってきたようだ。袋の中にはコピーされた紙もある。
「それ、細田にコピーさせた」
 稔が休んでいた分のノートのコピーだった。
「見て分からないところあったら、いつでも言って」
「ありがとう」
 稔はコピーを机の上に置き、何枚かに視線を落とす。その間も智章は稔のことを抱きしめてきて、耳元やうなじに吐息を感じた。秀崇の言葉通りで何だかおかしい。智章は意地悪するくせに優しくて、構い倒してくる。
「何?」
 笑ったのを見られた。稔は首を振る。
「何でもないよ」
 視線を落としてコピーを読んでいると、智章は稔をベッドまで抱えた。コピーがばらばらと床へ落ちていく。
「ちょっと、藤っ」
 ベッドは元から一人用のため、二人でその上に乗ると狭い。だが、智章は稔を壁側に座らせると、彼は縁のあたりに寝転んだ。
 一枚だけ手にあったコピーを読んでいると、智章がじっとこちらを見ているのが分かる。さらに、彼は右手で稔の左の太股をなでていた。そんなに見られたら緊張する、そんなふうに触られたら集中できない、そう言いたくてコピーから視線を上げた。
「藤」
「うん」
「……何でもない」
 智章の嬉しそうな表情を見ると、稔は何も言えなくなる。再びコピーを読みはじめると、智章は携帯電話でテレビを見はじめた。

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