ひみつのひ30 | ナノ





ひみつのひ30

 目を丸くした悠紀が尋ねてくる。
「え、じゃあ、すがっちの初恋の人って……」
「藤なんだ……」
 軽く勃起し始めた前を、ばれないように押さえて、稔は答える。悠紀もかなり驚いているんだろう。反応がまったくない。そう思ってちらりと視線をやると、悠紀は口を開いて、稔の向こう側を見つめている。稔も振り返った。
「それ本当?」
 智章は座っている稔をうしろから抱き込む形で、顔を近づける。
「ふ、藤」
「ん?」
「聞こえた?」
 智章は喉を鳴らすようにして笑う。上機嫌なのは確かだ。だから、よけいに怖い。
「ね、その手、どこ押さえてんの? 稔はいけない子だね。さっきの思い出しちゃった?」
 頬が熱くなる。
「口でしようか? この間の道具よりずっと気持ちいいよ。舌で裏筋から亀頭までなぶるんだ。吸い上げることもできる……おまえの精液が濃くなるまで、何回も何回もいく寸前でとめようか?」
 稔はますます赤くなり、うつむいた。向かいの席で悠紀も顔を赤くしている。
「立てないの?」
 完全に勃起してしまった稔は、それを隠していたいから立てない。智章は意地悪そうに笑うと、椅子を引いた。
「おいで」
 智章の腕の広げ方で、稔は彼のしようとすることが分かり、自らも体を抱かれやすいように腕を伸ばした。横抱きなら、股間の膨らみは気づかれにくい。智章はわざとひざ下からではなく上から腕を回してくれた。稔の体は捻れるが、股間がちょうど智章のほうを向くため、さらに気づかれにくくなる。
「星川」
 智章が呼ぶと、悠紀が立ち上がった。稔はぎゅっと目を閉じていて分からなかったが、周囲は抱き上げられた稔と抱き上げている智章をちらちらと見ている。
「悪いけど、稔のトレイも下げておいてくれる?」
 智章は稔を軽々と抱き上げたまま、食堂を出た。
「稔の部屋でいい?」
「……うん」
 稔はずっと閉じていた目を開く。校舎から寮へ続く道にはほとんど誰もいなかった。
「部屋にシャワー、ついてたらいいのにね」
 智章の言葉が意味深過ぎて、稔は腕の中で固まる。
「鍵は?」
 部屋の前に着く頃には、稔のペニスもだいぶ落ち着いていた。鍵を開けて部屋へ入る。
「あの、お金なんだけど」
 財布に持ち合わせがないことを言おうとすると、智章はいらないと答えた。
「どうしても返したいなら、お金じゃないもので返して」
 智章に顎をつかまれて、キスを受ける。くちびるの上をかすめるだけのキスなのに、稔はそのまま力が抜けていきそうで、思わず智章の背中へ手を回した。かすかな甘い香りを吸い込む。
「座って」
 促されるままベッドに腰かけると、智章は笑みを浮かべて、ズボンのチャックに手をかけた。
「藤っ」
 まだシャワーを浴びていない。汚いから、と意識的に智章の肩をつかんで押さえる。
「一回、出してから一緒にシャワー浴びよう?」
 稔には智章の言葉を拒否できない。最初からそうだった。これからもそうだと思う。
 智章は稔のペニスを取りだすと、手でいじった後、ぱくりと口にくわえた。稔はそれを見るだけで腰が動いてしまうくらい感じる。

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