walou番外編10 | ナノ





walou番外編10

 茶を飲み終わったエクは、寝台の上に転がり、「エリクはいつか、ラウリを伴侶にしますって言い出しそうですね」と笑った。イハブも隣へ座り、「首長の家の子だ。ラウリの相手として不足はないだろ」と返す。
「イハブ様、何だか、厳つい父親みたい」
 イハブはエクの笑い声を聞き、「俺達は父親で、あいつは大事な息子だからな」と返しながら、エクの体を覆うようにして、ひざを立てる。蝋燭の炎に照らされるエクは、初めて会った時より、ずいぶん大人びていた。
 首筋へくちびるをあて、ゆっくりとエクの熱や香りを楽しむ。あごや頬へくちびるを移動させ、最後に彼のくちびるを食んだ。
「っん」
 エクの我慢する声は、イハブの下半身へ直接的な熱を伝えてくる。うぶなところは、最初から変わらないままだ。イハブは頬を染めて恥らう彼が愛しくて、その着衣の中へ手を滑らせ、腰から太ももにかけてなでていく。
 ラウリを迎えてから、エクは夜にうなされなくなった。悪夢を見る前に夜泣きで起きるからだった。
 衣服が先走りで濡れる前に、白い肌をむき出しにさせ、イハブはエクの傷痕へ指先やくちびるで触れた。たち上がった性器に自らの性器を擦り合わせ、喘いでいる彼の口をふさぐ。舌同士が絡むように、性器が触れた。左手をそえて、触れ合う性器を擦り上げると、ほぼ同時に射精する。
 イハブは少し下がり、エクのアナルへ放った精液を塗りつけた。不安にさせないように、空いている手で彼の手を握る。アナルの拡張はいつも丁寧に行なっていた。最初の頃は強張っていた体だが、今は終始、身を任せてくれている。
「っあ、イ、イハブさ、ま」
 きて、と動いたくちびるへ吸いつき、イハブは自分の熱をエクの中へ打ち込む。体を一つに重ねることが、こんなにも気持ちよく、そして安堵させるものだと知らなかった。イハブはエクの反応を見ながら、彼の感じる場所を確かめるように動く。
 ラウリを起こさないよう、エクは嬌声をこらえていたが、やがて大きな波が来ると、彼自身の手で口を押さえた。のけぞる体が小刻みに震える。イハブも射精した後の軽い疲労感に目を閉じた。
 ほんの少し汗ばんでいる肌へ触れ、エクのまぶたへくちづけを落とす。上下する彼の胸を見つめた後、イハブは寝室を出た。台所にある桶の中に布を浸し、絞る。冷たいが、汚れたまま寝かせるわけにはいかない。
 イハブは寝台に腰を下ろし、精液と汗で汚れたエクの体を軽く拭いてやる。醜い、と彼が称した傷痕は、イハブにとっては彼が辛く厳しい時を耐えた証だった。見ないで、と弱々しい声で懇願した彼と、湯浴みに来ていた男達へ堂々と体を見せたエクの強さを思う。
「エク……」
 イハブはエクが本気で怒った日のことを思い出した。

 あれはラウリが来て、三ヶ月ほど経った頃だ。エクが温泉嫌いになったことは有名な話だった。帰郷してから一度も湯浴みへ行かないと言われていたが、実際のところは、誰もいない時間を狙って湯浴みをしていた。
「イハブ様も行ってみてください。体が温まりますよ」
 一緒に行こうと言われないことに、イハブはエクが体を見られたくないのだと理解していた。イエッセンをはじめ、仲のいい村人達からも誘われる。だが、自分を歓迎していない一部の者達が何と言うか考えると、イハブは首を自然と横に振った。

番外編9 番外編11

walou top

main
top


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -