ひかりのあめ9 | ナノ





ひかりのあめ9

「どんどんおまえのファンが増えるな」
 そう言ってオーナーが笑う。俊治もほほ笑みを返した。
「役に立ててるなら嬉しいです。雇ってもらって本当に感謝してます」
 少し冷めたお粥をスプーンですくい、口へ運ぶと、オーナーの指先が長い前髪へ触れた。スプーンを口に入れて、口の中のものを飲み込んでから、俊治は尋ねる。
「どうしたんですか?」
「じゅうたんはあいつなのか?」
 俊治はスプーンを置いて、少し身を引いた。
「あれは……合意です」
 まっすぐに見返して言うと、オーナーは溜息をついた。
「おまえなぁ……あいつは俺にはっきりと、言ってたぞ。おまえは金づるで、抱くのはおまえが頼むからだって。そんな不毛な関係、続けてどうする? あいつはおまえの金で女に服やアクセサリーを買ったり、パチンコで浪費してるだけだ。いつまでそんな馬鹿げた関係を続けるんだ?」
 俊治が言い返せずに黙っていると、オーナーが続けた。
「それに合意って言っても、アナルから出血するくらい、ひどいプレイをさせたのか? おまえ、そのうち体、壊すぞ。もっと自分の人生を考えろ。俺が言いたいこと、分かるか?」
「……はい」
 俊治はうつむいて、まだ残っているお粥を見つめた。内心、ほっとしていた。じゅうたんを洗う時に何があったのか気づかれたのかと思った。だが、オーナーは透一人のプレイだと思っている。
 オーナーは俊治の返事に満足したらしく、肩の力を抜いた。
「よし。じゃ、今夜から出勤できそうか?」
「はい。もう大丈夫です」
 俊治は心が痛んだが、それを隠すようにほほ笑んで、お粥を食べ続けた。

 給料から取っておいた十万円を渡すと、透が笑った。
「ありがとうな、俊治」
 俊治はうつむいたまま震えていた。透が仲間二人を連れてきていた。透は初めて仲間達を連れてきた後も、何度か仲間達とやって来ていた。二回目の時、俊治はちゃんと断ったが、撮影されていた写真をばらまくと脅されてしまい、彼らの相手をするしかなかった。
 俊治から金を受け取った透は、うしろの二人を振り返り、「先に金」と促す。透は彼らからも金をもらうと、そのまま部屋から出ていった。名前も知らない男二人が、こたつテーブルを押しのけ、俊治を押し倒す。自分で服を脱ごうとしたのに、男達は持っていたナイフで俊治の服を切り裂いた。
「動くなよ、動いたら、肉まで切れるって」
 嫌がって体を動かすと、男が笑った。俊治は怖くなり、体を強張らせたが、男はわざとナイフを肌に当てて滑らせた。
「っい……ぃ、やめっ」
 大きな声を出そうとすると、別の男がガムテープを俊治の口に貼りつけた。男はそのまま、ガムテープで俊治の両手を拘束する。
「今日は、なかなかいけないおまえのために、いいもの持ってきたんだぜ、なぁ?」
 俊治のにじんだ視界にピンク色の丸い粒が見えた。男はそれをまだ解れていない俊治のアナルへ押し込む。
「ンーっ」
 俊治は潤滑ジェルもつけていない指の侵入に痛みを訴えたが、男達はただ笑っていた。
「これで前立腺、突きまくってやるよ。俺らが飽きても、玩具がある。何回も何回もいかせてやるからな」
 男の言葉を聞いて、俊治は胃の辺りをぎゅっとつかまれたような恐ろしい感覚に陥った。逃げようと体をひねっても、男の手が足をつかむ。催淫剤は即効性のものらしく、足をつかんでいた男の手が尻を軽く叩くと、俊治はそれだけで鼻から甘い息を吐いた。
「もう効いてきたな」
 男はキャップのふたを開けると、はちみつ色のジェルを俊治の背中から臀部へかけて垂れ流した。ジェルはゆっくりと、俊治の尻の割れ目へ流れ落ちていく。その感覚に俊治は目を閉じて無意識に尻を動かす。

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