ひかりのあめ3 | ナノ





ひかりのあめ3

 オーナーや店長は俊治が仕事から離れるとダメ人間になることを知っていた。部屋は片づけられない。料理もほとんどできない。洗濯機も一人では使えない。特に高校時代から引きずっている透の存在については、二人とも口をそろえて縁を切れと言っているが、そういうところにもだらしなさが出てしまうのか、俊治はなかなか付き合いをやめられない。
 俊治は透に金をあるだけ渡してしまう。一度、家賃まで渡してしまってからは、家賃を先に給料から引いてもらっている。何度、オーナーが注意しても、俊治は透を前にするともう来るなとは言えなかった。
 日付が変わった後、制服を脱いで着替えていると、オーナーが入ってくる。
「お疲れさまです」
 礼がそそくさと着替えて出て行く。俊治はシャツとエプロンだけをクリーニングボックスへ入れた。
「……あいつ、まだ来てるのか?」
 一時期、オーナーは俊治と透の間に割って入ろうとしていた。実際に俊治はオーナーと寝たこともあり、透もその事実は知っている。だが、透からすれば俊治は金づるでしかなく、結果として自分が彼にとって本当にどうでもいい存在だと理解させられただけだった。
「来てますよ。でも、前にみたいに無理やり持っていったりはしません」
 オーナーは弱っている俊治の心を奪おうとしたが、俊治の心はいまだに透にあった。別に、冷たくされるのが好きとか、そういうわけではない。ただ彼には自分がいないといけないのではないかと思うことはある。俊治はそれをうまくオーナーへ伝えられなかった。
「そうか。困ったことがあったら、すぐ言えよ」
「はい」
「俺に抱かれたくなったら、すぐ電話しろ」
「……洗濯機の回し方が分からないんですけど」
 オーナーが大きな溜息を吐いた。
「今度の月曜に行ってやる」
「ありがとうございます」
 軽く頭を下げた後、俊治は裏口から外へ出た。歩いて十五分ほどでマンションまで着く。日付はもう土曜だったが、一週間のうちのいちばん忙しい夜を乗り切った褒美に、帰ったらタマゴかけご飯を食べようと思った。

 給料日の日は必ず透が来る。だから、俊治はちゃんとアナルをきれいにして、彼に渡すための金を袋に入れて待っている。オーナーが洗濯機の使い方を説明しに来てくれた日に、部屋の掃除も手伝ってくれた。俊治の部屋はとりあえず、ほんの一時はきれいになった。
 インターホンが鳴り、俊治は軽やかな足取りで玄関へ向かう。金を渡すと、透は喜んでくれるし、少し優しくなる。玄関の扉を開けると、透も笑みを浮かべて立っていた。こたつテーブルの上に置いた銀行の名前が入った袋を渡すと、透はすぐに中身を数える。
 俊治はいつも十万円入れていた。税金や光熱費を引いて、俊治自身の手元には多ければ三万円、少なければ二万円ほどが残る。その手元に残った金はほとんど食費に消えた。数え終わった透が、ふっと笑い、抱いてやろうか? と聞いてくる。
 俊治は頷いて、すぐに全裸になった。先月も先々月も給料日に抱かれることはなかった。透は面倒なことが嫌いなため、俊治はコンドームやジェルを用意して、自分の指でアナルを広げていく。俊治としては向き合ってしたいが、透が嫌がるから、準備ができたらうしろを向いた。
 透が裸になることはない。ジーンズのチャックだけ下ろして、そこからペニスを取り出すと、彼は自身の手で扱いた。こたつ布団とセットになっていた小さなじゅうたんの上に手と両ひざをついて、俊治は透のペニスが入ってくるの待つ。

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