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samsara8

 デミアスの激しい動きに合わせて、ユハは自らも腰を振った。初めて受け入れた時は死んでしまうのではないかと思ったが、アナルが傷つこうが、彼らは構うことなくユハを犯し続けた。ユハは自分を守るために、苦痛だけの行為から快感を得ようと必死だった。
「思った通り、淫らに育った」
 デミアスが中に射精しながら、興奮から膨れているユハの乳首をつまんだ。
「あ、ァア」
 腰を動かすと、デミアスが背後で笑う気配がした。扉が閉まると、ユハはその場に座り込む。すすり泣くような声は誰にも聞こえない。ユハはデミアスが手紙を燃やしたことなど知らなかった。

 荒い呼吸を繰り返した皇太子がユハの体から退いた。どこの国の皇太子か分からないが、内密に聖地グルントを訪問しているらしい。だが、皇太子の興味はもっぱらユハであり、ユハは二日連続、長時間の拘束を強いられていた。
 逃げることはないと言ったのに、皇太子はユハの体を荒縄で縛りつけた。その拘束はユハの小さなペニスにも及び、射精のたびにユハは苦痛の声を上げた。
 満足したのか皇太子が、ようやく体の上から退いた時、ちょうど部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「何だ?」
 皇太子が面倒そうに返事をすると、デミアスがユハに来客があると伝える。皇太子は笑うと、デミアスへ中に入るよう言った。
 荒縄で縛られているユハを見てもデミアスは表情一つ変えない。
「誰?」
「騎士団の軍務長官様だ」
「どっち? 無表情な天才のほう? へらへらした冷血なほう?」
 デミアスはユハの縄を解きながら淡々と答えた。
「ヴァリオだ」
「あぁ、天才君か」
 黙っているユハの横で会話が続いていく。ユハは騎士団の人間が苦手だった。神殿に出向いてくるのはヴァリオではなく、もう一人の軍務長官のほうで、彼は笑みを浮かべながらも、相手の真実を見抜くような鋭い目をしている。
 ヴァリオはユハより三つ年上で、ユハの歳でこの地位が異例なように、ヴァリオの歳で軍務長官になることは珍しいことだった。
 騎士団は聖地グルントができてから、成功した商人達が金で傭兵を雇ったことが始まりとされる。その後、神殿を守る騎士団として成り立ち、今も青の教団とは密接な関係にあった。
 貫頭衣を着ようとしたユハにデミアスが正装するように言った。
「それとも、軍務長官殿にもその裾をめくって見せるか?」
 デミアスが皇太子とともに笑い声を上げる。ユハは視線を落とし、使用人を呼んだ。使用人はユハの汚れた股の間を清め、素早く衣装を着せてくれる。礼を言うと、彼はいつものように頭を下げて出て行った。

 本当は誰かと会う気分ではなかった。いくら清めてくれたとはいえ、歩いているとやはり皇太子が奥に射精したものが流れ出し、袖口からは注意しなければ、縄のあとが見える。
 謁見の間に連れていかれたユハは、なるべく笑みを浮かべようと心を落ち着けた。
「お待たせして申し訳ない」
 デミアスの声に外の景色を見ていたヴァリオが振り返る。背の高い、がっしりとした体つきの青年だった。黒髪に闇色の瞳は意思が強そうに見える。日焼けした肌の上には遠目でも分かるくらい傷が残っていた。 
 ユハはなぜか懐かしいと感じた。どこかで会ったことがある気がしてならない。思い出そうとすると、ヴァリオが口を開いた。
「レイシアが来られないから、代わりに持って来ただけだ」
 円卓の上をころころと書簡が転がる。
「ありがとうございます」
「のんきなものだな」
 ユハが言葉の意味を推測する前にデミアスが言葉を紡ぐ。
「ユハはよくやっている。我々も全力を尽くしている。だが、どうしようもできないことはあるだろう?」
 何の話か分からず、ユハはデミアスを見つめた。

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