twilight24
肩をつかまれ、強く揺さぶられた。チトセの嬌声と男達の笑い声が響く。チトセは拘束こそされなかったものの、特別房に閉じ込められていた。ここには看守達だけではなく、どんな取引をしたのか分からないが、囚人達もやって来る。
彼らはチトセにBETWに似た薬を与え、代わりにチトセの体を使って欲望を吐き出した。病院とそう変わらない。ただ緩やかに落下しているだけだ。チトセは眠っている時以外、ほとんど自分の世界にいた。
夢の世界で、母親に抱き締めてもらいながら、響いてくる男達の声を聞き、命令されるがまま言葉をつむぐ。言う通りに体と口を動かせば、この世界を壊されることはない。
「このままだとおむつ生活だな」
看守の一人がチトセの髪をつかんだ。チトセは彼へ視線を向ける。うしろから貫かれ、薬の効果もあり、チトセは甘い声を出した。実際の行為はチトセを慮らないものだったが、薬を飲んでからすると、どんなにひどいことをされていても、快感としてとらえることができた。
「緩いぞ。もっと締めろ」
「……ん、う」
チトセは腹に力を込めた。看守の手が、すでに限界を超えているチトセのペニスを握る。
「ッアア、や、っい、イ、ぁ」
戻ってきて数日は、射精じたいを禁止されていたが、最近はペニスを拘束されることもない。射精し続けて限界がくれば、失神するだけだ。彼らの機嫌しだいで、そのまま犯されるか、一度起こされてから犯されるかが決まる。
細い糸の上に爪先で立っているような感覚だった。そこから突き落とされる。だが、痛みはない。地上に叩きつけられるわけではないからだ。延々と闇の中へ落下し続けるだけだ。意識を失った後、起こされたら、また上から落とされていく。その繰り返しだ。
軍人として恥ずべき嬌態だと罵られる。チトセの誇りは自害せず、罪を償う場所に留まっていることだった。何をされても、自分の命がある限り、受け入れる。
何度目かの覚醒を強いられ、チトセは目を開いた。扉を開けた看守が、「服を着せろ」とチトセを犯していた看守へ伝える。囚人服を着せられたものの、チトセは疲労から立ち上がることができず、床に転がったままだった。
「十分だけだ」
扉を開けた看守が、通路側へ向かって言い、特別房にいた二人の看守に出るよう促す。中に入ってきたのは、ルカだった。チトセを見るなり、彼は拳を握り、特別房の冷たく固い壁を叩く。
「クソッ」
チトセはゆっくりと上半身を起こした。ルカが会いにきた理由が分からない。彼は扉を閉め、チトセへ近づいた。一日一回はシャワーを浴びているが、先ほどまで相手をしていたため、においが気になる。チトセはかすかに体を引いた。ルカは気にせず、チトセの視線の位置までしゃがむ。
「おまえをここへ戻したのは、上層部の人間だ」
チトセは頷く。
「カウンセリングもリハビリも終わってないのに」
「俺は構わない」
立ち上がろうとして、視線の先に錠剤のシートを見つけた。ルカの視線もそちらへ注がれる。彼はシートを手に取り、くちびるを結んだ。
「鎮痛剤だ」
チトセはルカの手からシートを奪い返した。嘘ではない。常習になってしまったが、この薬は歴とした鎮痛剤だった。
「……どこか痛むのか?」
ルカの言葉にチトセは小さくこたえる。
「……あぁ」
鎮痛剤を飲み始めたのは、体ではなく、心の痛みが原因だった。BETWに似た成分構成の鎮痛剤は、チトセに痛みを忘れさせてくれる。
「間違ってる」
ルカは少し声を荒げた。 |