twilight13 | ナノ





twilight13

 狂ったように体を動かしながら、チトセは自分の置かれている状況よりも、薬のことばかりを考えた。薬がなければ、嫌な夢ばかりが続く。息継ぎができないのに、顔を何度も水面へつけられる。
 チトセは手足をばたつかせて、水から逃れようとした。だが、体は動かない。深くて速い呼吸を繰り返しながら、チトセは苦しみからあがき続ける。
「おい」
 誰かが髪をつかむ。チトセは頭上にあった木の葉の隙間から見える光に、目を細めた。
「マジかよ」
 五人ほどの兵がいた。皆、チトセの姿に驚いていたが、すぐにチトセの縄を解き、両手と両足首へそれぞれ、縄を縛り始める。チトセは手で口を拘束している布を外そうとした。兵の一人が縄の先を引っ張り、木に結びつけていく。
「アラタニ少尉が薬なんて、尊敬してたのに残念です」
 ふざけた口調でそう言った兵は、四つ這いにされているチトセの前に水の入った碗を置いた。チトセは縄が手首へ食い込むのも構わず、水へ手を伸ばす。だが、ちょうど手の届かない場所に置かれた碗へは、触れることもできなかった。
「誰からやる?」
 下半身をさらされても、チトセは大きな抵抗はしなかった。大佐達との経験から、この後に薬がもらえるのだと思った。口の拘束を外され、兵の一人が碗を持ち上げる。
「水が欲しいなら、しゃぶれ」
 チトセはなりふり構わず頷き、彼が取り出したペニスを口へくわえた。ろくに解さないまま、アナルを犯される。痛みは気にならない。チトセはとにかく薬を欲していた。
 兵は代わる代わるチトセを暴行すると、最後にまた布で口を拘束して去っていった。目の前にある碗へ手を伸ばす。寸前のところで届かず、チトセは体をばたつかせた。目を閉じると、溺れる自分が見える。
「っ、う、ゥウ……」
 喉の渇きは消えていた。だが、溺れている幻覚を見て、呼吸が乱れていく。口元や首へ手を持っていこうとしても、縄の長さが足りない。チトセは力尽きるまであがき、やがて気を失った。

 焦燥感に苛まれながら、チトセは目を開けた。薬が欲しい。自分がどこにいるのか分からないまま、真っ先に思ったことだった。手足首は肌が傷つかないタイプの枷がはめられている。
 起き上がろうとすると、ひどく体が痛んだ。口には舌を噛まないように特殊な拘束具がつけられていて、チトセは視界から入る情報を受けとめながら、格子の向こうに見える扉を見つめた。
 まるでチトセが起きたのを見ていたかのように、扉が開く。医者と思われる男性が二名とイトナミ大佐が入ってくる。医者はチトセを触診した後、注射器を準備した。拘束されているため、チトセは視線しか動かすことができない。
 イトナミ大佐を見ると、彼は薄く笑みを浮かべていた。血管へ薬液が注入される。しばらくして、それが薬であることに気づいた。どんなことをしても、薬が欲しいという欲求が消え、心が穏やかになるのが分かる。チトセは一度、瞳を閉じた。虹と藤棚の下にあるベンチが見える。
「っう」
 下腹部に感じた痛みに、チトセは小さくうめいた。正確には腹部ではなく、アナルに感じた痛みだった。目の前でイトナミ大佐が体を揺らしている。痛みはしだいに快感に変わり、チトセは体を弓なりにそらした。
 自分がどこにいて、何をしているのか、まったく分からない。最後の記憶はテント内でイトナミ大佐達の相手をしていたところだ。第三小隊の皆はどうなったのだろう。帝国はヴェスタライヒ軍に負けたのだろうか。
 疑問は次々とわき上がるのに、チトセはそれを口にできない。思考すら、しばらくすると、快楽に流されていく。イトナミ大佐が退いた後、先ほどの医者がチトセの体へ覆い被さった。自分は悪い夢を見ている。チトセはそう思うことしかできなかった。


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